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[新人戦]指揮官不在の西武台、10年世代越えへ課題もV王手:埼玉

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[2.11 埼玉高校新人大会準決勝 大宮東0-2西武台 西武台第2G]

 平成23年度埼玉県高等学校サッカー新人大会準決勝が11日、新座市の西武台高第2グラウンドで開催され、第2試合では3年ぶりの優勝を狙う西武台が大宮東に2-0で勝利。12日の決勝で浦和西と戦う。

 西武台は日本高校選抜チームコーチの守屋保監督が同選考合宿参加のため不在。指揮官不在の西武台の選手たちがコーチ陣から受けていた指示は「自分たちで考えてやれ」ということだけだった。「指示がない中での試合は初めてだった。(後半は)どうしたらいいか迷った」とゲーム主将のCB垣内雄貴(2年)は振り返るが、昨年の無冠から王座奪還を狙う西武台にとってはやや課題の残る試合となった。

 序盤は良さが出ていた。大宮東の素早いプレスをかわして、ショートパスと縦パスを組み合わせて相手を押し込んだ。そして21分にはショートパスをつないでDFのマークを外すと、最後はFW稲原聖矢(2年)からパスを受けたMF中西裕太郎(2年)が左足シュートをゴール右隅へねじ込んで先制する。さらに26分にはパワフルなストライカー、FW小布施恭平(2年)が自ら獲得したPKを右足で決めて2-0と突き放した。

 ただ、ここからリズムが乱れていく。守屋監督の代役として指揮を執った黒岩宏明コーチも「ボールが来てから判断している。自分の近くにボールが来なければ声も出ない。自分たちの判断がない分、攻撃も守備も遅れてしまった」と指摘したように、声が少なくピッチ上で出た修正点を自分たちで補うことができない。相手の好守にも悩まされた。後半2分に1年生の10番FW松山友弥、10分にはMF菅原翔太(2年)がそれぞれGKと1対1を迎えたが、いずれも大宮東のGK金子凌大(2年)の好守に阻まれると、5分に小布施が放った決定的な一撃もゴールマウスを直撃。16分には小布施がGKをかわしたものの、シュートは懸命に戻ってきた大宮東CB渡部直生(2年)にゴールラインすれすれでクリアされてしまった。2点ビハインドながらもビッグプレーを連発して士気上がる大宮東。追撃を試みる相手の背後を取って再三決定機を迎えた西武台だが突き放すことができなかった。

 逆に10番MF石川勝崇(2年)を起点とする大宮東にサイドや背後のスペースを突かれてピンチを招く時間帯もあった。試合前に自分たちでミーティングを行い、自分たちで考えてプレーしていた西武台は無失点で勝利をつかんだものの、試合終了後の選手たちは不満げ。小布施は「間延びしたときに締める声がなかった」と話し、垣内も「まだまだ自分たちだけじゃダメ。自分たちからやろうというのがなかった」と首を振る。自分たちの力で修正することができなかった試合をそれぞれが反省していた。

 チームの目標はFW清水慎太郎(現大宮)を擁して全国高校総体で4強へ進出し、全国高校選手権でも8強へ進んだ2年前の成績を越えること。「今日はダメでしたけど、もっと戦う気持ちが出る子たち」(黒岩コーチ)という世代は前からの厳しいプレッシャー、カウンターとパス回しからゴールを破る得点力にも手ごたえを感じている。ただ昨年無冠だっただけに慢心はない。小布施は「2年前のチームは凄いな、と思った。自分たちの目標はそこにあるけれど、いきなりは難しい。昨年はどこか同じ方向を向いていない感じがしていた。徐々に練習中から声をかけるとか、みんなでサッカーをやらないと勝てない」。12日の決勝も指揮官不在。この日の課題を繰り返さずに、まずは2年前の世代が逃した新人戦のタイトルを勝ち取る。

[写真]前半21分、西武台・中西(左から2人目)が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)

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