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[イギョラ杯]真の強豪・名門へ!選手権全国4強の尚志、PK戦で韮崎下す

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[3.19 イギョラ杯予選リーグA組 尚志高1-1(PK7-6)韮崎高 東京朝鮮高G]

 第22回2012国際親善ユースサッカーイギョラカップ予選リーグA組の尚志高(福島)対韮崎高(山梨)戦は1-1からのPK戦の末、尚志が7-6で競り勝った。

 1月の全国高校選手権で福島県勢初の4強進出の快挙を成し遂げた尚志がイギョラカップ2戦目に臨み、今大会初勝利を挙げた。東京朝鮮(東京)との予選リーグ最終戦に備えてエースFW皿良優介主将がベンチスタートとなるなど、下級生中心のメンバーで臨んだ尚志。ただ、現在人工芝グラウンドを建設中で、週末の遠征も悪天候が続いていたというチームはミスと連係不足で苦しい戦いとなった。
 
 一方、名門復活を目指す韮崎の攻撃はスピード感十分。抜群の切れ味を見せていた10番MF佐野裕明やMF三森一輝、MF仲田侑哉らがショートカウンターからバイタルエリアを突破し、ディフェンスラインの背後を次々と突いて決定機をつくり出した。だが、尚志はU-16韓国代表MF高慶汰が中盤で高いボール奪取力を披露。高の展開力や左MF阿部貴寛とMF川島大河のキープ力、パワーのある両SBが攻撃参加を見せるなど押し返す。また局面では正確なワンツーなどでブロックを切り崩しにかかる。そして前半29分、尚志はオーバーラップしていた右SB松葉智巳がドライブ回転の豪快な右足ミドルをゴールへ突き刺して先制した。

 後半、MF竹内渓太を投入してより攻撃力が増した韮崎は、個人技で尚志の最終ラインを攻略する。8分、竹内がGKとの1対1を迎え、11分にはMF小俣新弥が左サイドから出したラストパスに走り込んだFW深澤健太が決定的なシュート。ビッグセーブを連発する尚志GK河内智の前になかなか同点に追いつくことができなかったが22分、敵陣右サイドでインターセプトすると、竹内からのパスを受けた佐野が右足の弾丸ショットをゴール左隅へ突き刺して同点に追いついた。

 ただ、この後迎えた決定機を活かせなかった韮崎は勝ち越すことができず。皿良を投入した尚志も2点目を奪うことができなかった。ただ1-1で突入したPK戦で尚志は河内が相手の2、3、9人目をストップ。最後はMF蜂屋雄介が左隅へシュートを流し込み7-6で尚志が競り勝った。

 尚志にとって今年はとても重要な1年となる。一昨年度はプリンスリーグ東北1部で2位に食い込み、選手権8強。昨年度は全国総体で8強、そして選手権では悲願だった国立のピッチに立った。選手権では2年連続で大会優秀選手を輩出し、全国的にも強豪と認められる存在となった。被災地代表としての注目度が上回ってしまっていたが、全国制覇を果たしてもおかしくないだけの実力を持つチームに仕上がっていた。今年はその強さを継続させなければならない。仲村浩二監督は「3位になったことで(被災地が)『元気になった』と言われました。でも目指すのは毎年続けること。流経(流通経済大柏)や静学(静岡学園)、山田(青森山田)は悪いと言っても、毎年力のあるチームをつくってくる。だから今年は大事。(真の強豪・名門となるための)流れをつくりたい」と意気込んだ。

 1年、2年の活躍ではなく、継続的に活躍することは簡単なことではない。加えて今年の尚志は福島県内でも飛びぬけた存在ではないという。個性豊かな選手たちが揃っていた過去2年間とは違う。全体的な技術力は高いが、絶対的な存在は不在だ。選手権で活躍した皿良主将は「メンバーもガラッと変わった。経験値もない。全体的にボールをつなげると思いますし、ゲームを支配するチームを目指しているけれど難しい。気持ちが本気にならないと行けそうな気がしない。(選手権4強によって周囲からの)最低ラインが高くなっている。インターハイに出て、選手権までに完成させたい」。第2試合で東京朝鮮に0-6でまさかの大敗を喫した後、仲村監督は「帰ってどれだけボールを触るか」と奮起を促していた。真の強豪・名門となるため、妥協せずにサッカーに取り組む。

(取材・文 吉田太郎)

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