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[プリンスリーグ]「強い」高校王者・市立船橋、横浜FMユースに4-0快勝!

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[4.8 プリンスリーグ関東1部第1節 市立船橋高4-0横浜FMユース 小机]

 新生・市立船橋が横浜FMユースに4発快勝! 8日、高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 プリンスリーグ関東1部が開幕し、1月の全国高校選手権で優勝した市立船橋高(千葉)が横浜F・マリノスユース(神奈川)と対戦。FW石田雅俊(2年)とMF山根一之(3年)がそれぞれ2得点を決めて4-0で快勝した。

 選手権王者が今年もトップレベルにあることを証明する90分間だった。新チームにとっての公式戦初戦(Bチームは3月に公式戦を経験)。MF磐瀬剛(2年)が日本高校選抜の欧州遠征中のため不在だったが、それでもCB小出悠太、CB種岡岐将、右SB渡辺健斗(全て3年)と選手権日本一の主力メンバー3人が先発した市立船橋は闘争心、球際でのチャレンジ、攻守の切り替えの速さでも横浜FMユースを完全に上回り、相手に全くサッカーをさせなかった。主将の小出は「守備は意識して、切り替えも昨年以上にやろうと思った。4-0は想像していなかった」と驚き、朝岡隆蔵監督も「素晴らしかった。2週間で28試合くらい試合をして人を代えて、バランスを崩してやっていた。ボロボロにしたせいで自信を失っていたけれど、きょう、また自信を持てたと思う」と喜んでいた。

 先制点は前半10分に決まった。左サイドで相手のミスを逃さず、一気に抜け出した石田がPAへ侵入。GKとの1対1から冷静に右足シュートをゴールへ流し込んだ。期待の2年生ストライカーのゴールでリードを奪った市立船橋は、ディフェンスラインで大きくボールを動かしてから、縦パスや安定したポストプレーを見せる石田を経由してPA、コーナー付近までボールを運んでくる。2列目からの飛び出しにも迫力があり、横浜FMを押し込んでいく。

 横浜FMは多用していたサイドチェンジと左SB高野遼(3年)とSB福田圭佑(2年)の両DFのオーバーラップなどで反撃するが、次の1点を先に奪ったのは再び市立船橋だった。前半43分、左サイドでインターセプトした山根がすかさず動き出した石田へスルーパス。PAへ侵入した石田は一発の切り返しでDF2人を外すと、そのまま右足で2点目のゴールを叩き込んだ。

 市立船橋のラッシュはまだ止まらない。45分にも右MF宮川泰来(3年)の右クロスをファーサイドのMF森川穣(3年)が左足ダイレクトボレー。GKが弾いたボールを山根が押し込んで3-0へ突き放した。また守備面では「(選手権王者という)プレッシャーは楽しい。2年で(レギュラーとして)あれだけやらせてもらった。対人は自分のところでシャットアウトしたい」という種岡と小出の両CBとアンカー役のMF柴戸海(2年)らが素早い出足と厳しいチェックで相手の攻撃を封殺してみせる。

 後半は相手の反撃を警戒してか、ディフェンスラインが下がり過ぎてしまい、カウンターのチャンスをミスで逃すなど攻撃面での良さはほとんど出すことができなかった。それでも松橋力蔵監督が「(現状に満足してしまって)ここから変わっていくぞ、というところが見えなかった。完敗です。(できる力はあるが)自分たちがやろうとしていることができないし、色が出ていない。今年ほどできないスタートはなかった」と厳しく指摘し、ゲーム主将のMF喜田拓也(3年)が「甘さが出た。自分がやらないといけないという自覚が足りない」と残念がった横浜FMに反撃を許さなかった。

 闘争心を前面に出して走り回っていた喜田や守備での貢献度が大きかったMF斎藤一磨(3年)たちが巻き返そうとする横浜FMは、MF大鷲駿(1年)の落としからFW伊東海征(3年)が右足シュートを撃ちこみ、高野の左クロスから大鷲がヘディングシュートを放つ場面もあったが、全体的に局面での厳しさや献身姿勢がなく、市立船橋の堅守の前に最後まで決定的な形をつくることができなかった。逆に市立船橋は後半45分、右サイドのタッチライン際で石田が2人をかわして前進すると、最後は右サイドからMF宇都宮勇士(3年)を経由して逆サイドへつなぎ、山根がダメ押しの左足シュートをゴール右隅へ叩き込んだ。

 4-0とインパクト十分のスコアで初戦を飾った市立船橋。3月の県外遠征では守備面でのリスクの高い3-4-3のフォーメーションを組むことで個人個人の守備意識と運動量の増加を図った。日本一となったことで各校からターゲットにされる中、遠征での失点数は増加していったが、その経験が活きて4-1-4-1システム変更後は互いが声を掛け合って微調整するなどバランス良く守ることができている。また経験者も残り、この日ほぼパーフェクトだった守備ブロックには指揮官も「守備のベースは昨年より20~30パーセント増しでできている。だからこそ攻撃を上げたい」。3月の遠征ではメンバー、ポジションのテストに時間をかけたためチームとしての連係はまだまだこれから。後半は横浜FMがかけたアクションに対応できない時間帯があり、攻撃のタレントも昨年に比べると劣る。朝岡監督は今後大幅なメンバーの入れ替えも予想。周囲からのプレッシャーの中でどこまで成長することができるか。渡辺が「目標は選手権2連覇」と誓うように、年末の大目標へ向けて王者はこれからどん欲に強くなる。

[写真]市立船橋・石田は前半43分に右足でゴールを奪うなど2得点の活躍
(取材・文 吉田太郎))
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