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[プレミアリーグEAST]前節「誤審」で白星失った青森山田、首位・三菱養和に勝ち切れず3連続ドロー

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[4.28 プレミアリーグEAST第3節 三菱養和SCユース1-1青森山田高 三菱養和会 巣鴨スポーツセンターグラウンド]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2012 プレミアリーグEAST第3節、首位・三菱養和SCユース(東京)対青森山田高(青森)は前半15分に青森山田が11年U-17W杯日本代表MF室屋成(3年)のゴールで先制したが、三菱養和は後半38分に交代出場のMF相馬勇紀(1年)が同点ゴールを決めて1-1の引き分けに持ち込んだ。

 前節、誤審によって勝ち点を“奪われた”青森山田は大黒柱の先制ゴールで勝利に近づいたが、白星を勝ち取ることができなかった。この日ベンチの外から試合を見守った黒田剛監督は「やるべきことをやっていない。勝つためのサッカーをしていない。1点を守るということは大変な努力が必要。1-0で勝っている中でもっとハードワークが必要。気持ちひとつで勝ち点を取れるゲームで、不甲斐ないですね」。勝ちきることのできなかったチームに厳しく指摘していた。

 室屋をはじめ、MF椎名政志、GK野坂浩亮、CB縣翔平、SB新井幹人、FW林雄紀(全て3年)と1月の全国高校選手権から主力6人を残す青森山田は前半15分に怪我から復帰した室屋の「サイドハーフでの先発ということで、自分が絶対に得点してやろうと思っていた」というゴールで先制。組織力の高い攻守で相手のミスを誘発し、試合を優位に進めた。だが、勝ち点を奪うために攻撃に力を加えた相手を受けてしまい、また中盤・前線の選手が献身性を欠いてしまうなど、後半にギアを上げることができなかったチームは38分に失点。三菱養和はMF清水貴明(3年)が右サイドのスペースへボールを出すと、2タッチ目と同時にスピードアップした相馬が対面のDFを置き去りにし、角度のほとんどない位置から右足アウトサイドで同点ゴールをゴール左隅へ叩き込む。

 ホームの観衆を大興奮させた1年生MFのスーパーゴール。生方修司監督は「前半リズムに乗っていない中でミスでやられた。ここまでミスでやられたことがなかったので、その点は課題が残りました」と語っていたが、それでも三菱養和は今シーズン見せている勢いと勝負強さで同点に追いついた。

 一方、青森山田は直後にMF池上丈二(3年)が放った左足シュートのこぼれ球に反応した室屋がゴールへ押し込むが、オフサイドの判定でゴールならず。またロスタイムにはゴール前のこぼれ球に反応したMF須貝一希(3年)が決定的な右足シュートを放ったものの、三菱養和GK永井堅梧主将(3年)のビッグセーブに阻まれて勝ち越すことができなかった。室屋がサイドで凄みのあるプレーをし、攻守の切り替えの速さからゴールへ迫ったが、追いつかれるまで2点目のどん欲さを欠いたことも勝ち点を失う要因となった。

 青森山田は前節、ホームでの浦和ユース戦で2-2の引き分け。室屋が負傷欠場したが、Jユース勢からの勝利を目指して対策に対策を練って試合に臨んだチームは、マンマークで相手のキーマンFW中村駿介(3年)封じに成功するなど思惑通りに試合を進める。そして1-1の後半ロスタイムにFW林が劇的な勝ち越しゴール。ただ、ここからまさかの事態が起こった。殊勲のゴールを控え部員と喜んだ林ら4名がピッチの外、またGKを残してほぼ全員が林に駆け寄っている最中に主審が試合を再開してしまう。同点へ向けて必死の浦和ユースは誰もいない中央を駆け上がると、FW広瀬陸斗(2年)がGKとの1対1から同点ゴール。この場面を撮影していたテレビ局に映像があり、それを後日確認した日本サッカー協会は誤審を認めたというが、青森山田は白星を失っただけでなく、必要以上に副審への確認を主審に対して求めた黒田監督が退席と、三菱養和戦でのベンチ入り禁止処分となってしまった。

 室屋も「ベンチ外で見ていて凄い悔しかった」と振り返る浦和ユース戦。それだけに三菱養和戦で巻き返したいところだった。だが勝つためにやるべきことを徹底できずにドロー。「90分間走りきることができなかった。自分がもっと運動量あって走れたら守れた。3試合連続で引き分けで勝ちきれない甘さがある」と反省した室屋は「今年は個人としてはいいものを持っている選手が多いので、勝ちきれるようになれば、全国優勝とか狙っていけるチームになれる。プレミアリーグなどで優勝を狙っていけるチームにしたい」と誓っていた。チームは悔しさをバネにして課題の甘さを排除し、徹底して勝利とタイトルを目指す。

[写真]青森山田・室屋(右)がサイドから切り崩そうとするも三菱養和DF金子が必死の対応

(取材・文 吉田太郎)
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