beacon

[選手権予選]桐光学園が三浦学苑を振り切り、3年ぶり6度目の全国へ:神奈川

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.12 第90回全国高校選手権神奈川県大会決勝 桐光学園2-1三浦学苑 ニッパ球]

 桐光学園が3年ぶりの全国へ!! 第90回全国高校サッカー選手権神奈川県大会決勝が12日に神奈川県・ニッパツ三ツ沢競技場で行われた。試合は桐光学園が初出場を目指す三浦学苑を2-1で下し、3年ぶりの全国切符を手に入れた。清水エスパルスMF枝村匠馬の兄・枝村隼人監督の下、初の決勝進出を決め、勢いに乗る三浦学苑だったが、あと一歩及ばず。決勝戦で涙の敗退となった。

 試合後、全国行きを決めた桐光学園の選手たちは掌を大きく開き、満面の笑顔をみせた。彼らの手には佐熊裕和監督が描いたニコニコマークが浮かんでいた。試合前、自身初の三ツ沢競技場での試合ということもあり、DF高橋将吾(3年)が緊張で堅くなっていたため、これを見かねた指揮官が近くにあったサインペンでリラックスできるように描いたという。すると周りにいた選手たちが次々に「僕にも書いてください!」と殺到。桐光イレブンは指揮官が描いた“笑顔のマーク”を握り締めて試合に臨んだ。「すごく緊張している奴がいたので描きました。でもあれは嘘ですよ(笑) 本当は顔に描こうと思ったんだけど、それじゃあマズイと思ってね」と指揮官はおどけたが、高橋将は「これは本当に力になりました」と話し、選手たちは口々に「監督が描いてくれたんです!」と大きく手を開きながら、胸を張った。

 前半は苦しい戦いだった。相手の早いプレッシャーに押し込まれ、なかなかチャンスをつくれない。持ち味であるショートパスをつなぎ、相手陣内へ切り込みたいところだったが、中盤で簡単にボールを失ってはカウンターからピンチを迎えた。FW佐野弘樹(3年)が幾度か前線で起点となる動きをみせたが、シュートまで持ち込めずに時間が過ぎる。

 しかし前半34分、一瞬のチャンスをものにして先制点を奪ってみせた。右サイドから崩しにかかるとMF池田奨(3年)のパスを中央で受けた佐野がPA内へスルーパス。これに抜け出したMF小村研人(3年)がGKを前に思い切りよくシュートを放つ。これが決まり桐光学園が先制に成功した。このゴールを守りきり、リードで前半を終えたいところだったが、先制弾からわずか1分後、MF栗原奨吾(2年)の左CKをファーサイドのDF宮坂瑠(2年)にダイレクトで叩き込まれた。試合は振り出しに戻され、1-1で前半を折り返した。

 桐光学園は2度目のリードを奪おうと後半からメンバーを2人入れ替える。先制点を決めた小村に代えて、DF松井修平(2年)がダブルボランチの一角に入り、池田に代わって、MF木場田征実(2年)が右サイドへ入った。この起用に松井が応える。後半開始から3分、佐野が左サイドで起点となるとMF橋本裕貴(2年)が左クロス。これをニアサイドで受けた松井が利き足とは逆の左足インステップで豪快にシュート。2-1とするゴールを決めた。2度目のリードを奪った桐光学園は勢いづく。

 次々とメンバーを入れ替え、途中出場の選手たちが指揮官の指示を体現。対する三浦学苑はなかなかチャンスをつくることもできず、守備の時間が続き、運動量が落ち始めた。ここぞとばかりに桐光は立て続けにチャンスを演出。左サイドから切れ込んだ橋本が中央へ折り返し、松井が左足ダイレクトでシュート。これはクロスバー左へ外れた。後半32分にはDF大田隼輔(2年)の右クロスに佐野が頭で合わせたがクロスバー上方へ。追加点こそ奪えなかったものの、2-1で試合は終了。桐光学園が3年ぶり6度目の全国切符を勝ち取った。

 試合後、佐熊監督は「きょうも入試で一人いなかったが、2、3人メンバーが代わっても、調子悪い奴が出てきても、違う選手がしっかりとやってくれる。各ポジションに2、3人同じレベルでやれる選手が出てきた。そこがいいところだと思う」と話した。準決勝ではGK山下耕司(3年)が大学受験のために不在。この日は同じく受験のために司令塔のMF生部麦(3年)が欠場した。それでも先発の11人だけでなく、総力戦で戦い抜いての勝利。全国へ向けて選手層の厚みは一段と増し、チームとしての伸びしろもまだまだ感じさせる。佐野主将は「夏のインターハイでは(神奈川代表の)桐蔭が優勝したので、自分たちも全国でいい形で終われるように、優勝目指して頑張りたいです」と話した。夏の全国総体では神奈川代表の桐蔭学園が日本一に輝いた。次は桐光学園が神奈川代表として、冬の日本一決定戦で頂点を目指す。

[写真]3年ぶりに神奈川優勝を果たした桐光学園

(取材・文 片岡涼)

▼関連リンク
【特設】高校選手権2011

TOP