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[総体]全国で強豪に勝つためには? V候補・桐光学園、課題残す逆転勝ち:神奈川

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[6.17 全国高校総体神奈川県予選準々決勝 向上1-3桐光学園 等々力]
 
 17日、平成24年度全国高校総合体育大会「2012北信越かがやき総体」サッカー競技(長野)神奈川県予選準々決勝が行われ、10年全国総体4強の桐光学園が向上に3-1で逆転勝ち。2年ぶりの全国総体出場へ王手をかけた。桐光学園は23日の準決勝で川和と対戦する。

 全国で勝つためには何が必要か。桐光学園イレブンにとっては、問われる一戦となった。U-18日本代表CB諸石健太(3年)ら昨年から主力の多くを残す桐光学園は今季、プリンスリーグ関東1部でF東京U-18、千葉U-18、川崎F U-18から勝利するなど強豪集うリーグで2位につけている。控えの層も例年より厚く、全国でも十分に勝負できる布陣。だがプリンスリーグに比べるとレベルの下がる神奈川予選で、その厳しさ、判断力が薄れてしまっていた。

 相手がカバーリングしているところを強引に攻めたり、判断もバラバラ。前半、向上CB星野圭祐(3年)の無回転FKで先制を許した桐光学園はMF橋本裕貴(3年)の突破からMF有田和明(2年)が決めたゴールで同点に追いつく。ロングボールのセカンドボールに素早く反応してFW田中翔真とFW山下直也らがなだれ込んでくる向上の攻撃を跳ね返し、強引な攻撃で向上守備網に穴を開ける場面もあった。だが、前半は相手の弱点を的確につく桐光学園らしさはほとんど見られなかった。

 元日本代表MF中村俊輔(横浜FM)やMF藤本淳吾(名古屋)らを育てた佐熊裕和監督は言う。「ここではできても、全国で流経(流通経済大柏)、静学(静岡学園)とやった時、どうなの? と思う。カウンターでひとつ切り返しを入れたら、その分、スピードが遅れるじゃないかと。プリンスリーグでは全国で使える技術、使えない技術がはっきりするんです。1、2mの寄せができなかったら、簡単に得点されてしまう。みんな勝ちたい、と夢中でサッカーをやっているけれど、勝ちたいという気持ちだけではダメ。技術、戦術的なところで全国を見据えて戦わないといけない」。

 理解力が高いチームはハーフタイムを経て頭の中が整理できたか建て直しに成功し、後半は判断速度と精度が向上。右サイドから相手ディフェンスラインの背後を取るMF菅本岳(3年)を多用するなど決定機を連発し、また司令塔MF松井修平(3年)が相手の急所を突くパスで攻撃のテンポを上げた。そして22分、右SB関根陸(3年)の右クロスをFW市森康平(3年)が滞空時間の長い跳躍からヘディングシュートを決めて勝ち越し。直後の25分には右サイドから菅本の出したパスをニアサイドでスルーすると中央のFW野路貴之(3年)が鮮やかな右足ダイレクトシュートをねじ込み、3-1と突き放した。

 向上は最後まであきらめずに食い下がってきたが、最前線からボールを追い回す市森中心に厳しい守りを見せた桐光学園は2点リードを守りきった。ゲーム主将のCB大田隼輔(3年)は「もっと高いレベルでやらないといけない。突き詰めていかないといけないです。ハーフタイムに監督に言われてからではなく、自分たちで気づいて修正しないといけない。もっと全員が注意するべきだった」と反省。この日出た課題を繰り返さないために準決勝までの一週間、考えながらトレーニングを重ねていく。「新チームになった時に目標は全国のてっぺんと話した」(大田)という今年の桐光学園。目標を見失わずに高い意識で自分たちのサッカーを徹底する。

[写真]後半22分、桐光学園FW市森が頭で決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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