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[選手権予選]2年ぶり全国へ、“公立の雄”座間が激戦区神奈川制覇へ王手

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[11.4 全国高校選手権神奈川県大会準決勝 座間2-1向上 等々力]

 第91回全国高校サッカー選手権神奈川県大会は4日、準決勝を行い、座間がFW東剣大(2年)とFW小方脩平(3年)のゴールによって向上に2-1で勝利。桐光学園と対戦する決勝(10日)へ進出した。

 2年ぶりの全国大会出場を目指す座間と、準々決勝で全国高校総体優勝校、三浦学苑を撃破してきた向上とのセミファイナル。前半7分に先制し、終始リードを保った座間が決勝進出を決めた。内田雅之監督は「2年前、今の3年生は応援する側にいた。今回は自分たちの番だとやっている」。創部39年目で全国大会へ初出場した2年前、スタンドで応援していた1年生が現在の主力。全国での経験を後輩たちに引き継ぐことも目標に戦うイレブンが全国へ王手を懸けた。

 スーパーゴールがスコアを動かした。前半7分、座間は左サイドから仕掛けてDFをかわした東が「コースが見えた」と45度の角度から左足一閃。逆サイドのゴールネットへ突き刺す鮮烈ゴールでリードを奪った。先制されて早くもギアを上げることを求められた向上はMF渡辺恒(3年)を起点に早い段階でボールを前線へ預けようとするが、コンパクトな陣形且つ攻守の切り替えの早い座間に前半はシュート1本に抑えられた。

 後半も先手を取ったのは座間。18分、小方がスピードに乗った仕掛けでPKを獲得すると、自ら右足で決めて2-0と突き放す。182cmDF小森英明とDF高木純主将(ともに3年)の両CB中心に相手の速攻を阻むなど試合を支配したまま、終盤へ持ち込んだ。一方の向上はMF榎本克弥(3年)のドリブル突破やFW山下直也(2年)のシュートなどで反撃。35分に座間FW若林翔文(3年)に放たれた決定的な右足シュートをGK相原涼(3年)が好セーブで弾きだすなど粘りを見せる。

 向上はアディショナル突入後の41分に交代出場のFW田中翔馬(3年)がポスト直撃の左足シュート。そして42分には渡辺の右クロスから田中がヘディングシュートを決めて1点差とする。勢いづいた向上だったが、追撃ゴールが遅すぎた。1点及ばず試合終了。座間が決勝進出の権利を勝ち取った。

 座間は第1シードとして臨んだ今春の関東大会予選5回戦で三浦学苑に1-2で敗戦。同大会で準優勝して関東大会に出場した三浦学苑は全国総体予選も勝ち抜き、初出場した全国総体で日本一となった。内田監督は「(三浦学苑の日本一は)神奈川の他のチームに勇気を与えたと思う。三浦を倒そうということで切磋琢磨してきている」と神奈川のレベル向上を喜ぶ。選手たちには「自分たちにもできる」という思いも。高木は「関東で三浦に負けて向こうは波に乗った。ただ(三浦の日本一が)自分たちの活力になって夏のトレーニングを乗り越えることができた」。今大会、三浦学苑に雪辱することはできなかったが、三浦学苑を倒して勝ち上がってきた向上を下して全国に王手を懸けた。

 決勝の対戦相手は桐光学園。高木は「相手はプリンスリーグ(関東1部)1位で力はある。でも桐光に勝ってこそ神奈川のチャンピオンだと思っている。引かずに自分たちのスタイルでやりたいと思う。座間のスタイルとして『ひたむき』『はつらつ』という言葉がある。応援してくれる人たちと一体となっていることで座間はやっている。決勝も一丸になって戦いたい。(先輩たちの立った全国の)あのピッチに立ちたいと思ってきた」。昨年は桐蔭学園、今年は三浦学苑がそれぞれ全国総体を制し、桐光学園は現在プリンスリーグ関東1部首位を快走。全国屈指の激戦区となった神奈川を公立校の座間が駆け抜ける。

[写真]後半18分。座間FW小方が決勝点となるPKを決める

(取材・文 吉田太郎)
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