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[MOM887]東海学園DF小室貴大(3年)_二刀流CBが積極守備で完封に貢献

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.9 全国高校選手権愛知県予選決勝 中京大中京0-2東海学園 名古屋市港]

 腰を引かずに食い止めた。東海学園が強力FWを擁する中京大中京に競り勝てたのは、恐れることなく立ち向かう姿勢を見せた守備が要因だった。U-18日本代表FW宮市剛を擁する中京大中京は、序盤からロングパスを前線に蹴り込み、セカンドボールを拾って積極的にミドルシュートを飛ばした。しかし、東海学園は自陣に引くことなくファーストボールをきっちりと競りに行く守備で対応。さらに、失敗を恐れずに自陣からショートパスをつないで、次第に敵陣へと押し返していった。終盤は相手のパワープレーにさらされたが、体を張ってゴールを守り抜いた。象徴的な存在だったのが、中央に構えた2人のCBだった。中でも左腕にキャプテンマークを巻いた小室貴大(3年)は、1対1で強さを見せただけでなく、周囲へのコーチングでも完封勝利に貢献した。

 守備陣の活躍は、鶴田道弘監督の目にも光って見えた。「宮市君にマンツーマンで付かせたわけではないけど、真ん中の2人で、あるいは両サイドバックも協力する形で良い守備をしていましたね」と評価を与えた。同年代の代表ストライカーが相手とあって意識しないわけにはいかない。小室は「相手は(年代別の)日本代表でプレーしているようなFWなので、意識しないようにしようと思っても、頭のどこかで気にはしていたように思うし、1対1では負けたくないという個人的な気持ちもあった。球際や競り合いは、自分と(もう一人のCBの佐々木)隆でしっかりとチャレンジしようと言っていた。退かずに前で自分たちから先手を打って戦うことを意識していた。前を向かせたら怖い選手だと思うので、相手が思っているようには触らせない、シュートは打たせないという気持ちでやった」と闘争心を奮い立たせて臨んでいたことを明かした。

 興味深いのは、小室が元々はストライカーだったという点だ。CBを経験したのは、中学時代の終盤。高校に入学してからはCBのほかにSBも経験してプレーの幅を広げていった。最上級生となった今季は主にCBで起用されているが、プリンスリーグではFWで起用されたこともある。ゴール前の申し子とでも言うべき二刀流の選手だ。

「CBでもFWでも、何を求められて起用されたのか、自分で考えてプレーするようにしている」という言葉が、積極的な守備を体現した鍵だったのかもしれない。FWにとって嫌な守備は、どんなプレーなのか。小室のプレーは、その答えを体現していた。完封勝利は、前線の惜しみないフォアチェックと、GK大澤俊太のビッグセーブなしには語れないが、攻めの姿勢を持ったCBが相手のエースに立ちはだかったことの意味は大きかったに違いない。小室は「全国大会では、愛知県代表として責任を持って戦いたい」と抱負を語った。日本中の猛者との対戦をどう乗り切るのか楽しみだ。

(取材・文 平野貴也)
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