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[MOM892]前橋育英DF田邉真之介(3年)_堅守・前商切り裂いた左サイドの“大器”

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.10 全国高校選手権群馬県予選準決勝 前橋育英1-0前橋商 群馬県立敷島公園サッカー・ラグビー場]

 17日の県予選決勝も勝って全国大会に駒を進めれば、2か月後に“前育のベイル”と注目を集める存在になっているかもしれない。そう思わせるようなパフォーマンスを見せたのが、前橋育英のU-17日本代表DF田邉真之介(3年)だった。

 まずは前半5分、ボランチのMF佐藤祐太(3年)が左前方へボールを落とすと、駆け上がってきた田邉は左足一閃。鋭い回転をかけたクロスボールをファーサイドのFW小口大司(3年)の頭へドンピシャで合わせて先制点をアシストした。さらに2分後には左サイド後方からストレートの軌道のアーリークロス。DFの頭上を越えたボールはファーサイドの小口の胸へ届き、再び決定機となった。田邉は「試合前からチームのミーティングでアーリークロスを上げていこうというのがあった。立ち上がりだったんで、まず上げようと。(先制アシストとなった)あのボールはバウンドが浮いていてあまり蹴りやすくなかったんですけど、上げてみようと思って蹴ったらいいところに行って小口が合わせてくれた」。

 日本代表MF細貝萌(ヘルタ・ベルリン)ら多くの好選手を育てている山田耕介監督も「(いい左足を)持ってるんだけど、なかなか出してくれない(苦笑)。左からのクロスとかアーリークロスとかは期待しているんですよ」という田邉の左足。2本のクロスでスタンドを沸かせた田邉は11分にも豪快なドリブルでDFとの1対1を制してラストパスを送り、後半にも引いて守る相手のサイドを破ってPAへ侵入した。そして後半のラストプレーでは自陣からドリブルで相手PAまで独走。シュートをGKの足に止められて苦笑いしたが、インパクト十分のプレーの連続だった。

 183cmの長身と強烈な左足、そして「中3くらいから短距離が早くなった」というスピード。その注目DFの憧れの存在は今季、史上最高額の移籍金でレアル・マドリーへ移籍したウェールズ代表MFガレス・ベイルだ。元々左SBとしてブレイクしたベイルの左SB時代の映像をこの日の試合前も見たという田邉は「試合前、いつも見ている。ベイルをお手本にして、(前育のベイルと呼ばれるような選手に)なれたらいいですね。ベイルの左SBの時のプレーが大好きで、ボールを持ったらどんどん仕掛けてシュートを打ったり、キックの精度もすごいので参考にしたりしている。自分はどちらかというと守備より攻撃が得意なので、クロスだったりドリブルの縦突破とか見てほしいです」と語った。
 
 最終的に落選したものの、今春はU-17W杯日本代表候補にも選ばれていた。それだけに後輩のMF鈴木徳真とFW渡邊凌磨(ともに2年)が出場して活躍したU-17W杯を悔しい思いで見つめていた。ただ、今は悔しい思いよりも「自分もやってやる」という気持ち。「自分も上のカテゴリーでまたあそこに戻れるようにやっていきたいと思っています」。現在の目標は選手権でチームの日本一に貢献すること。「(17日の)決勝は自分らしさを出してチームに貢献することだけを考えて、何が何でも優勝して、絶対に全国へ行きたいです。(初戦で敗れた)インハイで悔しい思いをした。悔しさを晴らすわけにも全国に戻らなければいけない」。強豪対決で勝利に貢献して自信をつけた左SBが、決勝でも自分の武器を存分に発揮する。

(取材・文 吉田太郎)
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