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[MOM944]松商学園FW高橋隼人(3年)_「1試合1得点」エースの有言実行

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 広島皆実2-2(PK2-4)松商学園 味フィ西]

 初戦で4ゴールを奪って勝利した松商学園(長野)だったが、エースストライカーのFW高橋隼人(3年)は不発に終わっていた。県予選では全試合で得点し、6戦合計13得点を奪っているストライカーの心中たるや穏やかではなかった。「1試合目で決められなくて、エースと言われてきたんですけど役割をはたせなかったのでこの試合に懸けるものはありました。1試合1点を目標にしてきたので、今日2点取れてフラットにできてよかったです」。重責から解放された高橋は安堵の表情を浮かべた。

 並々ならぬ決意を持って広島皆実(広島)戦に臨んだ高橋は、情熱の中にも冷静さを覗かせた。PKを獲得したシーンでは、「ボールの持ち方を見ていたらパスを出すのが遅いと感じていた」という広島皆実のセンターバック丸山泰司(2年)に襲いかかりボール奪取。PA内に突進しPKを誘った。「FWの役割として(相手への)威嚇や、(パスコースの)限定をやってきたのでよかったです」

 PK奪取の勢いそのままに蹴りたいところだったが、広島皆実のGKが退場となってサブのGKが交代で入ったため、PKを蹴るまでには数分を擁した。さらに、交代したGKがゴールマウスについても、高橋はなかなか動かなかった。PKを外す時に見られる「嫌な間」がそこにはあった。しかし、高橋が気持ちを切らせることはなかった。「気持ちを落ち着かせて、絶対に決めると心の中で繰り返していました」。たっぷりと間をとった後に放たれたシュートは、ネットを揺らして試合を振り出しに戻した。

 そして同点に追いついた4分後、FKがファーサイドまで流れたところで右足を一閃。角度のないところから「何も考えずに」振り抜かれたボレーシュートは、サイドネットに突き刺さった。ストライカーの嗅覚がなせるファインゴールだった。

 いまでこそ背番号「10」を背負い、エースとして活躍する高橋だが、中学生の頃は実績を残した選手ではなかったと高山剛治監督は言う。「うちは県外から集めずに地元の小中学校が育ててくれた選手ばかりなので」。それでもサンフレッチェ広島ジュニアユース出身の選手が多く在籍する広島皆実に勝利した。「出身チーム見るなとは言いましたけど(笑)。長野の選手でも勝てるところを見せたかった」。続く3回戦、松商学園は修徳(東京)と激突する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 奥山典幸)

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