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[MOM653]兵庫県FW藤本裕豪(神戸U-18、1年)_「恩返しをしたかった」FWがPK失敗帳消しの2発

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[10.3 岐阜国体少年男子準決勝 兵庫2-2(PK8-7)大阪 飛騨古川WB]

 前日のPK失敗がU-16代表候補FWの心に火をつけた。兵庫県の2トップの一角を担うFW藤本裕豪(1年)はU-16日本代表候補のストライカー。技術、判断力が高く、絶妙なタイミングでDFの背後へ飛び出す動きも魅力のFWだが、今大会序盤はやや不調で満足のいくプレーができていなかった。

 そして前日準々決勝の千葉県戦ではPK戦で右足シュートを相手GKに止められてしまう。PK失敗のあとは先輩や仲間に励まされても下を向くことしかできなかった。それでも仲間の奮闘によって準決勝進出を果たして迎えたこの日「昨日PKを外して恩返しがしたかった」という藤本がチームにゴールで「恩返し」をする。

 まずは前半6分、右中間でボールを受けた藤本がPAへ走りこんだMF中井英人(神戸U-18、1年)へ出したスルーパス。これはDFにブロックされたが、こぼれ球にいち早く反応すると右足を一閃すると、素晴らしい弾道の一撃はゴール左上隅へ突き刺さった。

「先制した時は嬉しかった」と振り返る藤本はその後も、キレのある動きと正確なワンタッチパスなどで攻撃の中心となった。そしてタイミング良く相手の急所を突いて危険な存在となると、試合終了間際の後半34分に2点目のゴールを決める。ハーフウェーラインを少し越えた位置で楔に入った藤本はこれをダイレクトで右サイドへ展開すると、ボールが逆サイドへ動く間に隙を見つけ、スペースの空いたPA内左サイドへ猛ダッシュ。左SB山口真司(神戸U-18、1年)からのスルーパスを引き出すと左足で勝ち越しゴールを叩き込んだ。

「いいボールが来たので決めるだけだった」と微笑んだ藤本だったが、大阪府との大一番で2ゴールの大活躍。前日のミスを帳消しにする活躍ぶりだった。そしてPK戦ではしっかりと右隅にシュートを決めて悪夢も振り払った。この働きには菊池彰人監督(ヴィッセル神戸U-18)も「2戦目までは調子が上がらなかったが、アップからチョット良くなってきていた。きょうは一番走れていたと思う」と目を細めていた。

 不調の原因のひとつと感じているのは現在開催中のAFC U-16選手権(U-17W杯アジア最終予選)U-16日本代表メンバーから落選したこと。この代表の常連だっただけにショックは大きかったが、「スゴく大きい悔しさを国体で晴らそうと思っていた」というFWは、その言葉通りに兵庫県の12年ぶり決勝進出の立て役者のひとりとなった。あとは決勝の1試合を残すのみ。「ゴールを決めて優勝へ導きたい。笑顔で兵庫に帰りたい」と誓うFWが、決勝でも再び兵庫に歓喜をもたらす。

(取材・文 吉田太郎)
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