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[総体]“悪いサイクル”ハマりかけた正智深谷、逆転許さずPK戦勝利

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平成25年度全国高校総体
「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技(福岡)

[8.1 全国高校総体1回戦 正智深谷2-2(PK5-4)北海道大谷室蘭 福岡フットボールセンター人工芝]

 5年ぶり出場の正智深谷(埼玉2)が北海道大谷室蘭(北海道1)を2-2で突入したPK戦の末に5-4で振り切って初戦突破。1回戦シードの山形中央(山形)と戦う2回戦へ進出した。

“悪いサイクル”で踏ん張った正智深谷が2回戦進出だ。試合開始直後にスルーパスで抜け出したMF岡部拓実(3年)が右足で決めて先制した正智深谷は、10分にもプレッシャーの甘い相手DFの虚をついた注目FWオナイウ阿道(3年)が右足シュートをゴール右隅へ突き刺して2-0とする。立ち上がりやや集中力を欠いたプレーのあった大谷室蘭から2点を先取した正智深谷は、その後も左サイドでキレのある動きを見せていたMF栗田怜(2年)がGKと1対1となり、オナイウが決定的なシュートを放つなど貪欲に3点目を狙いに行く。

 ただ立ち上がりの連続失点から立ち直った大谷室蘭も反撃。20分にMF大類憲(3年)のスルーパスで抜け出したFW市原純(3年)のシュートはポストに嫌われたが、エースFW吉田光希主将(3年)と市原の2トップやMF向中野創平(3年)のキープ力を活かして反撃。狭いスペースでもボールをつないでいくなど、前半終盤は相手を押し返していた。

 吉田が「前半の途中からやれるなと思っていた。後ろがゼロで守ってくれれば点は入ると思っていた」と振り返ったように、大谷室蘭は後半に2点を奪い返す。まずは5分に大類が左足シュートを決めて1点差。さらに9分には抜け出した吉田がGKに倒されてPKを獲得すると、これをMF中村哲也(3年)が右足でゴール左隅へねじ込んで同点に追いついた。

 正智深谷の小島時和監督は「“悪いサイクル”と言っているけれど、(1点取られると)2-1から2-2、2-3となってしまう。でも追いつかれた後にピンチもあったけれど、そこで失点しなかったことが良かった」。一方の大谷室蘭・吉田は「そこでもう1点取りきれなかったところが今のチームの弱みだったのかなと思います」と悔しがった。相手を飲み込むことができなかった大谷室蘭に対し、正智深谷は“悪いサイクル”にハマりかけながらも、ここで食い止め、オープンな展開となった終盤に3点目を許さなかったことが2回戦進出につながった。

 2-2でもつれ込んだPK戦では、相手の2人目・向中野の左足シュートをGK礒部大暉(2年)が左へ跳んで完璧にストップ。1人目のオナイウから4人連続で成功していた正智深谷は5人目のMF齋藤雄士主将(3年)が冷静にゴール右隅へ決めて5-4で競り勝った。この日、PA付近で見せる鮮やかな崩しのシーンはわずかで自分たちのサッカーについては全く納得していなかった正智深谷だが、昨年度の選手権初戦ではPK戦敗退を喫していただけにまずは一歩前進。オナイウは「点数も2-2で選手権と同じですし、みんなしっかり決めて勝てたのは大きい。次もしっかり、一つひとつ悪いところを修正してみんなでやっていきたいです。(埼玉)代表として来たので負けられない」。エースが「自分たちから壊れちゃった」と分析した初戦の反省を2回戦でしっかりと活かして初の3回戦進出を果たす。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 吉田太郎)
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