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[MOM943]四日市中央工FW小林颯(1年)_“三重の香川真司”が2戦連発弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 帝京三0-2四日市中央工 等々力]

 168cmの小柄な体を投げ出した。四日市中央工(三重)は前半38分、MF森島司(1年)の左クロスにFW小林颯(1年)が飛び込む。「いいところにボールが来たので合わせるだけだった」という豪快なダイビングヘッドでゴールネットを揺らし、先制点を奪った。

 1回戦の矢板中央戦(3-2)に続く2試合連続のゴール。それでも、1年生ながら昨年度までエースのFW浅野拓磨(現・広島)が付けていた背番号16を引き継いだ小林は「去年までの16番は点をたくさん取っていた。その番号を受け継いで、自分も責任感を持ってやっている」と満足することはない。

 登録はFWだが、1.5列目のトップ下で先発。伝統的に2トップが多い四中工だが、樋口士郎監督は「小林の特長を生かすため」に4-2-3-1のシステムを選択した。「ミスが続いたり、メンタルのコントロールという意味ではまだまだ若いけど、バイタルエリアでのアイデアだったり、ラストパスを出せる選手。僕のイメージでは香川真司」。そう評する小林には、実際にマンチェスター・Uの日本代表MF香川真司のプレーをまとめた映像なども見せているという。

「プレースタイルが似ているということで、練習前のミーティングで監督に呼ばれて、香川選手のDVDを見たりしています。勉強になるし、日本代表の試合を見ても、すごいプレーをしている。僕もああいうプレーをして、チームに貢献したい」

 三重県名張市出身の小林は中学時代、C大阪U-15に所属。名張中に通いながら、授業が終わると、「電車とバスと自転車で2時間ぐらい」かけて大阪まで週5日、通っていた。「近くのクラブチームでやるより、自分が成長できる一番のところだと思った」と、3年間、三重と大阪を往復しながら自分を磨いてきた。しかし、関西リーグで得点王になったこともあったが、「自分の実力が足りなかった」と、C大阪U-18への昇格は果たせなかった。

「悔しかったけど、落ち込んでいる暇はなかった」。地元の四日市中央工へ進学。「高校サッカーで有名になれば、また道がある」と、プロという夢を叶えるために名門校の門戸を叩いた。樋口監督も「(C大阪U-15で)テクニックのベースは付けてもらっている。あとはこういう激しい試合を経験して、たくましさを付けていけば、3年後に逆転する可能性はある」と、さらなる成長に期待している。挫折をバネにはい上がった16歳。四中工の新16番は日々、進化を続けている。

(取材・文 西山紘平)

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