beacon

[選手権]初芝橋本との打ち合いを制し、市立浦和が3回戦に進出

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.2 全国高校選手権2回戦 初芝橋本2-3市立浦和 埼玉ス]

 第92回全国高校サッカー選手権は2日、2回戦を各地で行った。埼玉スタジアム2002の第1試合では、初芝橋本高(和歌山)と市立浦和(埼玉)が対戦した。攻撃的なサッカーを志向する両校の激突は、激しい点の取り合いとなったが、前半25分までに3得点を挙げた市立浦和が3-2で勝利。5年ぶりの全国選手権で白星発進をきった市立浦和は、明日3日の3回戦で富山一(富山)と対戦する。

 勝利した市立浦和の池田一義監督が「苦しさしか残っていない」と苦笑した試合は、立ち上がりから激しく動く。前半5分、市立浦和はPA内でMF戸嶋祥郎(3年)がドリブルで仕掛けると、倒されてPKを獲得する。これを「自信はありました。最初から右に蹴ろうと思っていました」という戸嶋が自ら決め、市立浦和が先制した。初芝橋本も、すぐに反撃に出る。先制点から1分後、DFのクリアーボールを拾ったMF渡辺淳揮(2年)が豪快にミドルシュートを突き刺し、試合を振り出しに戻す。

 追いつかれた市立浦和は、前半11分に波状攻撃からクロスバーを直撃するシュートを放ち、そのクリアーボールのこぼれ球をMF稲辺光(3年)がPA外から狙ったが、得点できない。それでも、攻勢の時間帯が続く中、同14分にはMF鍛冶光一(3年)が右サイドを突破し、ゴール前に速いボールを折り返す。これがDFに当たってゴールに転がり込み、再び市立浦和がリードした。

 なおも市立浦和はたたみ掛ける。前半24分には右サイドバックで起用されたFW石神佑基がCKからヘディングでゴールを決めて、3-1とリードを広げた。前半30分過ぎからは初芝橋本も市立浦和を押し込む。36分にはFW末吉塁(2年)がDFのギャップでボールを受け、フィニッシュに持ち込むがDFにブロックされる。ロスタイムにはFW原田雄暉(3年)もPA内に侵入してシュートを放ったが、左足で放ったシュートはクロスバーを越えていった。

 後半も打ち合いは続く。7分スローインを受けた鍛冶がPA内でGK立川小太郎(2年)をかわす。ゴールは無人だったが、ルックアップして中に詰めてきた選手を探す間に、戻ってきたGK立川にパスをブロックされた。後半10分には、初芝橋本も決定機をつくり出す。左サイドから渡辺がゴール前にクロスを入れると、原田が左足のオーバーヘッドでゴールを狙う。シュートは枠を捉えたが、市立浦和GK鈴木涼平(3年)に枠外へと弾き出された。

 後半19分に初芝橋本の阪中義博監督は「最近、調子も良かった」というスーパーサブFW柳原慶斗(2年)をピッチに送り出す。この柳原の動き出し。市立浦和の前線の運動量が落ち、プレスが弱まったこと。さらに、ボランチ渡辺がマークの緩い低い位置からロングボールを入れるようになり、初芝橋本はチャンスを増やしていく。後半25分には柳原が、末吉からのパスを受けてゴールネットを揺らし、1点差に詰め寄った。同35分にも柳原はゴール前に入った浮き球をGK鈴木が弾いたところをボレーで捉えたが、シュートはクロスバーを越えて得点にはならない。結局、あと1点が届かず

 後半は初芝橋本に苦しめられた市立浦和だったが3-2で逃げ切り、3回戦進出を決めた。この日、埼玉スタジアムは地元の市立浦和の試合ということもあり、1万1,738人もの観衆が集まったが、選手たちは「3回戦は、さらにホームのような雰囲気で戦えると思う」と喜ぶ。というのも、会場となる浦和駒場スタジアムは、同校から徒歩10分程度の距離の場所にあるからだ。「応援に応えようという気持ちが選手たちにはあります。今日、走らせてくれた、頑張らせてくれたのは応援のおかげ」と、池田監督は言う。さらなる後押しを受けて、市立浦和は5度目の選手権制覇へ攻め続ける。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 河合拓)
▼関連リンク
【特設】高校選手権2013

TOP