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[選手権]桐光学園に雪辱! 四日市中央工が2大会ぶり8強進出

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[1.3 全国高校選手権3回戦 四日市中央工1-0桐光学園 ニッパ球]

 第92回全国高校サッカー選手権は3日、3回戦を各地で行い、ニッパツ三ツ沢球技場の第1試合では、四日市中央工(三重)と桐光学園(神奈川)が対戦。昨年の1回戦でも顔を合わせていた両チームの激突は、前半31分にMF森島司がゴールを挙げた四日市中央工が1-0で勝利。昨年の2回戦で、2-4で敗れた雪辱を晴らし、8強に進出した。

 連戦による影響か、前半から両チームにミスが目立つ。前半6分に四日市中央工の迎えた最初のチャンスも、相手のミスから。FW井手川純が最終ラインの裏に抜けてシュートを放ったが、ボールは枠外へ飛ぶ。同12分には桐光学園もDFの背後をとったMF池田友樹(2年)がフィニッシュに持ち込むが、こちらも枠外へ。

 四日市中央工業の樋口士郎監督は、「これまでの2試合はロングボールを主体としてくるチームだった。この試合は、桐光学園は洗練されているので、相手の前からのプレス、攻守の切り替えにしっかり対応しないと、苦しいんじゃないかと。この試合は主導権を握られるかもしれないと話して、選手を送り出しました」と振り返る。両チームとも、思うようにボールをつなげなかったが、より切り替えの意識を高く持っていた四日市中央工は、井手川にボールを集めながら、ゴールに迫っていく。前半17分、26分と井手川はシュートを放つが、得点を挙げることはできない。

 前半31分には、エースがおとりになった攻撃から先制点が生まれる。中盤でボールを受けた森島のトラップが大きくなり、前方へ転がる。コンパクトに保たれていた桐光学園の最終ラインの裏には井手川が残っていた。井手川がボールに反応したところ、森島が動きを制止。「(井手川が)触ったらオフサイドになると思いました。とにかく必死だったので、副審が旗を上げたかは見ていませんでしたが、DFは止まっていたのでチャンスになると思っていました」(森島)。ピッチ内の動きに集中していた森島は、そのままPAに突進。GKとの1対1を制して、先制点を挙げた。

 井手川がプレーに関与したと主張する桐光学園側は、執拗な抗議をした湯田哲生コーチが退席となったが、ピッチ内の選手も動揺していた。FW植木隆之輔(3年)は「オフサイドか、オフサイドじゃないか。そういう微妙な得点だったので悔しかったです」と振り返る。その後も桐光学園は、低い位置でのミスからピンチを招くなど、ペースをつかめないまま前半を折り返す。

 ロッカールームに戻ると、桐光学園の鈴木勝大監督は「こんなイニシアティブの握られ方は不愉快だ。絶対に追いついて逆転しよう」と選手たちを鼓舞したという。しかし、「四中工のCBを引き出して背後を取ることを昨日、今日のミーティングで話していましたが、後半はその意識が強すぎたかもしれません。もう少し横パスを入れてもよかった」と反省するように、押し気味に試合を運びながらも攻め急ぎ、シュートまでいけない時間帯が続いた。

 逆に速攻からピンチもあった桐光学園だが、ようやく30分過ぎからシュートシーンをつくりだす。後半30分にはロングボールの折り返しを植木がシュート。ボールはゴールを捉えたが、ライン上で相手DFにクリアーされる。同33分にもFW小川航基(1年)が右にドリブル、足の裏で残したボールに走りこんだMF今来俊介(3年)がシュートするが、ボールはクロスバーを越えてしまう。36分にも後方からのロングボールを植木がフリック、スペースのある状態でボールを受けた小川だったが慌ててシュートを打ってしまい、ボールは左へ逸れて行った。

 後半38分にはゴール正面約25mの位置でFKを獲得した桐光学園は、DF杉本大斗(3年)が鋭いシュートを枠に飛ばしたが、GK高田勝至(2年)の好セーブに阻まれた。これで得たCKに桐光学園GK白坂楓馬(2年)も攻め上がり、ゴールへの執念を見せたが、得点を挙げることはできずにタイムアップ。

「決定的な場面はあったので。そこを決められなかったのは力不足かなと思います」と、桐光学園の鈴木監督は敗因を分析し、「大人の力でゲームが決まってしまうようなことは、非常に残念。ただ、これはピッチに限らず、社会に出てもこういう理不尽なことはあるかもしれないと、子供たちには正直に伝えました」と、決勝点についてコメントした。

 一方、昨年の借りを返すかたちになった四日市中央工の樋口士郎監督は「3年生がしっかり後ろで頑張って支えて、1年生が自由にのびのびと戦う。風は吹いている感じはしますね」と、決勝に進出した2大会前のチームになぞらえ、手応えを口にした。四日市中央工は5日の準々決勝で、初出場の履正社(大阪)と対戦する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 河合拓)
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