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4か月ぶりの連敗も前を向く横浜FC DF堀之内「あきらめません、絶対に」

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[9.2 J2第32節 横浜FC 1-3 栃木 ニッパ球]

 あと一歩というところで、勝てない。横浜FC山口素弘監督の就任後、チーム記録となる6連勝を記録するなど、最下位から順位を上げてきた。しかし、ここ4試合は昇格を争う京都、甲府、栃木に敗れ、1勝3敗と負け越している。31節の甲府戦(1-2)に続き、栃木戦にも敗れたことで約4か月ぶりに連敗を喫してしまった。プレーオフに進出できる6位以内に近づきながらも、そこに入れない足踏み状態が続いているが、DF堀之内聖は栃木戦後に「下を向くことは絶対にない」と語った。

 試合前、突如として雷雨となり、キックオフは30分遅れた。激しい雨が降ったことで、キックオフの頃にはピッチに水が浮いていた。芝が濡れていれば、ボールは走る。パスをつないで攻める横浜FCにとっては、良い環境だ。しかし、水が浮く状態になってしまえば、ボールは止まってパスがつながらなくなる。このピッチ状況が、選手たちの判断を迷わせた。

「最初は自分たちも『ピッチが良くないから、中盤を省略して蹴って行こう』と話をしていた」と堀之内は明かす。実際に横浜FCの右サイドでは、ピッチの影響でボールが止まる場面が何度もあった。しかし、左サイドや中央では、ボールが走っていた。「最初にあれだけ降った割には、意外とピッチが良かったですからね。中盤を省略するにしても、もっと徹底してチームとしてやらなければいけなかった」と堀之内は悔やむ。

 先制点の場面は、その意思統一ができなかった結果だ。ボールがつなげると判断した後方の選手たちは、最終ラインから細かくパスをつなごうとした。しかし、前線の選手たちは、試合前の話通りにロングボールを待ってしまった。その結果、前後が広がってしまい、パスがつなぎにくい状況になっていた。相手にプレスをかけられてボールを失い、速攻から失点を許してしまった。

 さらにセットプレーから2失点を喫したが、これも試合前から警戒していたことだったと堀之内は悔やむ。「スカウティングでも、相手の得点の大多数がセットプレーだと分かっていて『セットプレーに気を付けよう』と話していた中での失点だったので、本当にもったいないし、不甲斐ないという気持ちが強いですね。1タッチで決められたというより、セカンドボールで決められた感じなので。集中はしていたと思いますが、より集中を高めること。反応をもっと早くして、頭で予測していかないといけない。今後の課題ですね」と語った。

 3点差を付けられた試合終盤、速攻からMF杉山真に決定的なシュートを放たれた。しかし、堀之内がゴールライン上で体を張ってブロックしている。このように最後まであきらめない姿勢が、今後のリーグ戦でチームにも求められるだろう。残り10節を前に、手痛い連敗を喫したが、堀之内は自分たちの可能性を信じている。

「一番下からこうやってきて、ここで勝てば上に行けるというところで今まで何回も壁にぶち当たってきました。今日も、ほぼ同じ立場にいるチームと戦って負けていますが、僕らがあきらめることはありません。本当にいつも言っていますけど、挑戦者、チャレンジャーなので。負けは負けと素直に認めて反省しますが、下を向くことは絶対にありません。あくまで目指すところは上にある。現実的に目標が不可能になるまでは、あきらめません、絶対に。可能性がある以上は(優勝を)目指します。そうじゃないと意味がありませんから」

 天皇杯を挟み、リーグ戦は1週間以上、空くことになる。この期間でやるべきことは、変化を求めることではなく、継続だとベテランは話す。「変えるよりも、今までできていたことを継続して、詰めていく作業になると思います。もう一回、チーム全体としてしっかり守って、しっかり攻めて、というところを確認したい」。残り10試合、大逆転でのJ2優勝、J1昇格を目指すチームに、立ち止まっている暇はない。

(取材・文 河合拓)

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