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埼スタを静まり返らせた札幌の至宝、古田「石さんのために」

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[10.6 J1第28節 浦和1-2札幌 埼玉]

 優勝争いを演じる浦和にひと泡吹かせたのは「札幌の王子」だった。前節・川崎戦(0-1)で史上最速でのJ2降格が決定したコンサドーレ札幌。残り7試合は“消化試合”となってしまったが、MF古田寛幸は「いい意味でなるようになる」と降格のショックを吹っ切って試合に臨み、見事、敵地で金星をあげることに成功した。

 個と組織でまさる浦和に何度も決定機をつくられ、前半は防戦一方の展開。「得点の匂い」を感じることができなかった前半だったが、後半立ち上がりに先制したのは札幌だった。後半5分、MF河合竜二からのパスを受けた古田がDFをうまくかわし、右足で豪快な先制弾。「たまたま前にこぼれました。調子が良いときはこういった偶然がある。利き足ではない右だったので、ゴールを見ずに振り抜きました。今日は思い切って打っていこうと決めていたので」

 今シーズンの札幌は、失点の多さとともに決定力不足も課題だった。チャンスをつくりながらも決めきれず、課題が解消されることなく4度目の降格となった。「GKとの1対1は、コーチと練習しました。いろいろな人に支えられた得点。今日は得点を決めたことよりも、チームとして勝ち点3をとれたことがうれしい」と、今季初のアウェーでの勝ち点獲得を喜んだ。

 浦和撃破の立役者となった古田は、今季限りでの退任が決定した石崎信弘監督への思いも語った。「石さんと同じ年に(札幌に)入ったので。お世話になったし、石さんのために戦う」。育ててくれた恩師のために――。プロ4年目の21歳は、残り6試合勝利を目指して戦い続ける。

(取材・文 奥山典幸)

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