beacon

途中出場で攻撃を活性させたFW藤田「マリノスにチャンスをもらった」

このエントリーをはてなブックマークに追加
[3.2 J1第1節 横浜FM4-2湘南 日産ス]

 横浜F・マリノスは今オフに、FW小野裕二、FW大黒将志、MF谷口博之、MF狩野健太と、攻撃的な選手が、そろってチームを離れた。その中で期待がかかるのが、千葉から新加入のFW藤田祥史だ。2日に行われた湘南ベルマーレとのJ1開幕戦では、1点ビハインドの後半19分からピッチに立ち、逆転勝利に貢献した。

 湘南のMF永木亮太が「向こうが2トップになって、3バックがやりにくくなった」と話すように、藤田は試合の流れを引き寄せる活躍を見せた。ピッチに入った直後には、左足で惜しいシュートを放ったが、これはGKに防がれている。

 その後も藤田は献身的に相手の最終ラインの裏へ走り込んだ。後半、湘南のドイスボランチは運動量が落ち、前へプレスに行けなくなった。結果、最終ラインに吸収される時間が増えていた。そこに、藤田である。「相手は結構コンパクトなので、走れば裏を狙えると思って見ていました。走ってパスを要求すれば、相手は間延びすると思ったので、意識してやっていました」。FWマルキーニョスは密集を嫌うとサイドに開くか、中盤まで下りてきた。しかし、藤田は前線で高い位置を取り続けている。この動きにより、湘南の最終ラインが下がり、同じく途中出場のMF齋藤学が得意とするドリブルを繰り出す空間ができあがった。

 間接的にゴールにも絡んでいる。後半29分の場面では、ニアに飛び込み齋藤の折り返しをスルー。その背後でフリーになっていたマルキーニョスが、確実にゴールを決めた。続く後半38分の場面でも、齋藤学にパスを預けると、そこから齋藤とマルキーニョスの連係で試合をひっくり返した。さらに、後半ロスタイムには、藤田のパスを受けたマルキーニョスがPA内で倒れてPKを獲得。これをマルキーニョスが決め、勝利が決定的となった。間接的にではあるが、逆転勝利に貢献した藤田だが「点を取らないと意味がない。まだまだ」と、少しも満足していない。

 特に1点をリードして迎えた後半ロスタイムのパスには、悔いがあるようだ。「点になったから、いいんですけど」と前置きをした上で「ループシュートを打とうか考えたんですよね。より確実な方と思ってパスを出しましたが打てば良かったかな…。ちょっと後悔していますね。打ちたかったな。マルキには、シーズン中に、この貸しを返してもらいます」と、気持ちを切り替えた。

 キャンプ中はケガもあり、思っていたほど連係を高めることはできなかったと振り返る。「今日は周りを気にせず、自分のプレーに徹しようと思った」と振り返ったが、停滞していた横浜FMの攻撃を、最前線で活性した。「J1でやりたい気持ちがあって、そのチャンスをマリノスにもらった」と、クラブに恩義を感じているストライカーは、この日のプレーを「まあまあ」と評し、次は自らの得点で恩返しすると約束した。

(取材・文 河合拓)

TOP