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ホーム開幕戦勝利を喜ぶ浦和MF宇賀神「決勝点は初めて」

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[3.9 J1第2節 浦和1-0名古屋 埼玉]

 鮮やかな一撃が、名古屋ゴールに突き刺さった。後半9分、浦和レッズはMF鈴木啓太の縦パスをFW興梠慎三が最終ラインの裏に送る。PA内でボールを受けたMF宇賀神友弥は、右足のダイレクトシュートで元日本代表GK楢崎正剛の守るゴールを破った。これが決勝点となり、浦和は1シーズン制となった2005年以降初となる開幕連勝を飾っている。

 この日のヒーローになった宇賀神は「試合前から点を取りたい気持ちが強かった。結果に出て良かったです」と、笑顔を弾ませた。サイドから飛び出して最終ラインの裏を取ってのゴールについて「まさに練習でやっていた形が出ました。本当に気持ちいいです」と、振り返っている。

 プレー中も、得点後も、冷静だった。「興梠(慎三)さんにボールが入ったときに、少しだけ中に行く動きを入れたんです。そのときに興梠さんと目が合ったので『これはパスが来るな』と思い、裏に走りました」。シュートの感触については「どんなコースだったか、あまり覚えていない」と言うが、得点後は極めて冷静だった。「最初は一気に走ったんですが、途中から槙野くんに『カメラの方に行け』と言われていたのを思い出して、そっちに走りました。ドヤ顔を決めたんですが、試合後にみんなからは『ヒドイ』と言われました」と、苦笑する。

 パフォーマンスは不評だったが、J1通算5得点目は、価値ある勝ち点3を呼ぶものとなった。「自分のゴールが決勝点になったのは初めてなので、嬉しい気持ちと、少しずつ成長できているかなという手応えがあります」と、漲る自信を口にした。

 浦和の左サイドのレギュラーという自覚も強い。「キャンプの最初からスタメンに入っていて、その中で自分がやらないといけないと強く思っています。昨年はサイドに張り付いて、(前に)出ていくという動きばかりでしたが、今季は(原口)元気や柏木くんを活かすプレーもできています。自信を持てているからうまくいっていると思いますし、後ろは槙野くんが守ってくれるという信頼感もある。それが良い方に出ているんだと思います」と、チームメイトとの関係にも好感触をつかんでいる。

 この試合には5万2000人を越える多くのサポーターが駆けつけた。その期待に、今後も応えていきたいと、宇賀神は言う。「開幕戦を良い内容で勝てたことが、今日の集客にもつながったと思います。お客さんが増えてくれる中で、しっかりやらないといけないし、今日も自分たちのやるべきサッカーはできたと思うので、また(お客さんが)増えてくれると思います。そうすれば、また自分たちのモチベーションにもつながります」。好循環の中で、開幕連勝を飾った浦和。その中で下部組織育ちの24歳の若武者は、どんどん成長を続けていく。

(取材・文 河合拓)

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