[7.3 J2第22節 横浜FC 3-1 栃木 ニッパ球]

　開始17秒で決まった横浜FCのカズの先制ゴールは、どうやら選手たちにとっても意外だったようだ。ゴールをアシストしたFW大久保哲哉は「蹴って来るかなと思ったんですよね、松(松下裕樹)が」と、振り返る。

　キックオフ時、横浜FCはよく左サイドに大久保が入っている。そこにロングボールを蹴ることが多いのだが、この日、キックオフからのパスを受けたMF松下裕樹は、前線にロングボールを蹴らずに、ショートパスをつないだ。これを左サイドバックの中島崇典が受け、前方にいた大久保に預けた。大久保は野崎とのワンツーで左サイドを突破し、ゴール前にクロスを入れたのだ。

「すべてがスムーズだった。僕はフリーだったので、あまり中に入らず、外でボールを要求していて。ナカジ(中島)から良いボールが来て。ノザ(野崎)も良い形でボールを落としてくれました。カズさんと (武岡)優斗が中に見えていたので、足元に強いボールを出せばっていうのはあったので、それだけを意識していました。そうしたら、カズさんがすごいトラップをしたんで。あと、あのシュート。トラップはもちろん素晴らしいですが、あれをふかさずに枠を捉えるのは、さすがだと思いますね」

　このゴールで先制した横浜FCだが、その後は決してうまくいったわけではない。栃木の松田浩監督も「向こうはあれで引いたのか、うちがボールを支配し、向こうにとっては難しくなったくらいだった」と話す。だが、相手の時間帯にも失点しないところが、今の横浜FCの良さだろう。大久保も「あそこで追いつかれたりすると、チームのリズムも難しくなる。あそこで1-0で終わらせることができたり、前節の松本戦のように0-0で終わらせることができるところは、ウチが良いときの証拠だと思う」と、胸を張る。

　無失点で後半につなげた横浜FCは、2点を追加して、プレーオフ圏内の6位にいた栃木を打ち破った。ダメ押しとなる3点目を決めたのは、大久保だった。前節の松本戦に続き、左サイドを中島と武岡の連係で崩すと、中島の折り返しを大久保が左足で決めた。

「左インサイドです。練習した甲斐がありました。ナカジから良いボールが来たので、ファーに、左サイドネットをめがけて、ふかさないことだけを意識して蹴りました。シュートはイメージ通りの良いシュートが打てたと思います」

　2トップのアベックゴールもあり、横浜FCは3連勝を飾った。これで順位は11位に浮上し、プレーオフ圏内の6位栃木との勝ち点差も5に縮めている。次節、次々節のアウェーゲームで、横浜FCの真価が問われることになりそうだ。

(取材・文 河合拓)