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喜びよりも安堵…阪口「ゴールよりPKを与えたことが…」

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[8.6 ロンドン五輪準決勝 日本2-1フランス ロンドン]

 ゴールの喜びよりも安堵の気持ちの方が大きかった。1-0の後半4分にMF宮間あやのFKからヘディングで追加点を決めたMF阪口夢穂。「相手の6番(スベイラン)が全然ボールを見てなくて、自分のことばかり見ていた。宮間選手も見てくれていて、これは行けるかなと思った」。後方から走り込み、体を投げ出すように頭で捉え、ゴール右隅に流し込んだ。

 貴重な追加点が阪口にとっての五輪初ゴールだったが、「点を取ったことよりPKを与えたことの方が悔しい」と唇をかむ。フランスに1点を返された直後の後半33分、FWソマーがサイドからドリブルで仕掛け、DF近賀ゆかりをかわしてPA内に進入。カバーに入った阪口だったが、相手が切り返したところで足がかかり、PKを与えてしまった。

「PKのときはホンマに何とも言えなかった。入れられてもまだ同点だけど、みんなに申し訳なかった」。絶体絶命のピンチ。ここで同点に追いつかれれば、勢いは完全にフランスに傾く。しかし、阪口の祈りが通じたか、MFブサグリアのキックはわずかにゴール右へ外れた。

「ホッとした。まだ時間は残ってたから、心の余裕はそこまでなかったけど、逆にこれで守り抜かなきゃと思った」。その後もフランスの猛攻にさらされたなでしこジャパンだったが、GK福元美穂を中心とした守備陣が体を張って対応。紙一重のところで跳ね返し、1点リードを守り抜いた。

「だいぶ苦しかった。フランスの底力を見た気がしました」。後半39分にMF田中明日菜と交代。最後はベンチでメダル確定を告げるホイッスルを聞いた。9日の決勝の相手はアメリカ。昨年の女子W杯決勝の再現となるラストマッチへ「どういう感じか想像はできないけど、最後なので全員で力を余すことなくがんばりたい」。中盤の黒子としてなでしこを支える背番号6。金メダルのためには、阪口の働きが欠かせない。

(取材・文 西山紘平)

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