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[高校選手権]ハイレベルな攻防戦はPK戦の末に帝京が勝利:東京

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[11.28 全国高校選手権東京Aブロック決勝 帝京 0-0(PK4-2) 成立学園 西が丘]

 28日、第88回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック決勝が西が丘サッカー場で行われ、3連覇を目指す帝京と成立学園が激突。両校無得点で突入したPK戦の末、4-2で勝った帝京が3年連続34回目の全国選手権出場を果たした。帝京は大会終了後の抽選によって東京B代表となることが決定。12月30日の全国大会開幕戦でルーテル学院(熊本)と戦う。

 ハイレベルな攻防戦の末に待っていたのは無情にもPK戦での決着だった。先行・帝京、後攻の成立学園ともに2人目が外して迎えた3人目、帝京のMF青柳駿平(2年)が決めたのに対し、成立学園FW小林拓貴(3年)が放ったシュートは帝京GK内田裕久(3年)が右手で弾く。ボールは右ポストを叩き、そのままゴールの外へと消えていった。これで優位に立った帝京は右足中指骨折の負傷をおして延長後半2分から出場した4人目・MF稲垣祥主将(3年)がその右足で決めてつなぐと、最後はDF樫本健太(2年)が左足で決着をつけた。

 延長を含めた100分間はむしろ劣勢だった帝京。だが、幾多の苦しい試合を乗り越えてきた歴史か。全国に進んだのはまたもや名門だった。廣瀬龍監督は「次の世代の後輩たちにつなげられるのはよかった」とホッとした表情を見せた。

 3連覇を達成した帝京。だが、前述のとおり、その道のりはあまりにも苦しいものだった。この決勝ではともにケガのため司令塔・稲垣とFW田口慎太郎(2年)の2人をベンチスタートさせたが、試合はU-18代表候補・田辺圭佑と柿木亮介、藤田和樹(いずれも3年)、東大樹(2年)の4人による中盤の構成力で勝った成立学園のペースとなった。
 帝京は立ち上がりこそハイプレスで相手を押し込んだが、成立学園は5分にジェフユナイテッド千葉加入内定のU-18代表候補FW戸島章のポストプレーで抜け出したFW村野和真主将が決定的な右足シュート。これを皮切りに、圧倒的なキープ力を持つ村野と190cmの超大型FW戸島、そして左サイドを縦に突く東、後方からの飛び出しを繰り返した柿木と次々に帝京DF陣に襲いかかり、決定機をつくり出していった。

 ただ、押され気味だった帝京も攻撃力は十分。元日本代表FW高木琢也氏の長男で同じくFWの高木利弥(2年)が中央への突破を図り、MF井澤壮典(3年)がドリブルでサイドをえぐれば、MF廣瀬公紀(3年)が巧みな個人技でDFを外しシュートへと持ち込んだ。
 ともに多彩な攻撃陣が決定機をつくり合う、目の離せない展開となった試合は後半開始から帝京が相手ゴールを立て続けに強襲。1分、ショートカウンターからMF桑島良汰(2年)のシュートがゴールをかすめると、3分には左クロスから廣瀬が決定的なヘディングシュートを放った。
 ただ、攻撃力で上回る成立学園も19分に左サイドを破った藤田のアーリークロスをニアサイドで東が合わせ、21分には藤田のクロスが背走するDFの頭上を超えて戸島へ通る。だが戸島が右足ダイレクトで合わせたシュートは帝京GK内田が抑えた。

 成立学園の2年生GK四宮祐貴の好守も光っていたが、帝京の内田の果敢な飛び出しと連発したビッグセーブが100分間ゴールが生まれなかったこの試合のハイライトだった。22分、スルーパスに反応した成立学園・戸島の前に立ちはだかった内田は30分にも個人技でPAへ侵入してきた村野の左足シュートをはじき出し、その直後にもPA内でDFを外した村野の左足シュートをストップした。
 決定機の数、枠へのシュートで上回っていたのは成立学園だった。だが、延長戦にもあったチャンスを決めきれず、全国切符は「最後は気持ちが勝敗を分けると思っていた。相手より走れれば勝てる。それだけの練習をしてきたし、(練習での)つらい経験で上回っている自信があった。自分は何が何でも止めるつもりだった」と語った内田が勝利を呼び込んだ名門・帝京の掌に落ちた。

 昨年は1回戦で優勝した広島皆実(広島)にPK戦の末に敗れた帝京。「今年こそは」の思いは当然強い。廣瀬監督の希望通りに開幕戦を戦う権利を引き当てた名門は「どこが勝ってもおかしくない」(廣瀬監督)全国でも、そのハイレベルな実力と勝利の歴史がつくり出す勝負強さ、そしてどこにも劣ることのない精神力で勝ち続ける。

(取材・文 吉田太郎)

特設:高校サッカー選手権2009

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