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[高校選手権]5戦連続完封で日本一に、11人全員の鉄壁守備

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[1.11 全国高校選手権決勝 山梨学院大付1-0青森山田 国立]

 山梨学院大付(山梨)が5試合連続完封で全国の頂点に立った。大会屈指の攻撃力を誇る青森山田(青森)のパスサッカーを寸断。前線からのプレッシャー、1対1の球際、ゴール前での粘り強さ、守護神のビッグセーブ。まさにチーム一丸となってつかんだ日本一だった。

 青森山田のエースFW野間涼太(3年)にはDF関篤志(2年)がピッタリと張り付き、仕事をさせなかった。182cmの長身DFはことごとく空中戦に競り勝ち、中盤がセカンドボールを拾う。青森山田に2次攻撃を許さなかった。「1人1人が体を張って、自分がミスをしてもだれかがカバーしてくれる」と関。お互いの信頼関係が堅守をさらに強固にした。

 関とセンターバックを組み、絶妙なカバーリングを見せたDF中田寛人(3年)は「勝っても負けてもこれが最後。みんなで楽しもうと話していた。楽しんだ結果、自分たちのパスサッカーができたと思う」と胸を張った。

 青森山田の司令塔であるU-17日本代表MF柴崎岳(2年)にもMF宮本龍(2年)が厳しくマークし、相手の心臓部を止めた。「FWの人がプレスにいってくれて、ロングボールもDFが競り勝ってくれた。周りの人のおかげです」と謙虚に語ったが、宮本とダブルボランチを組んだMF碓井鉄平(3年)は「相手のボランチは上手かったけど、宮本が柴崎をつぶしてくれた。宮本に感謝したい」と絶賛だった。

 後半28分、CKのピンチの場面では混戦から野間に決定的なシュートを打たれたが、GK松田ラン(3年)が足を伸ばしてストップ。「全然ボールは見えてなかった。股の間から出てきて。体が反射で動いた」。このCKの直前、松田は碓井から「お前、まだ仕事してねえぞ」とゲキを飛ばされていたのだという。「キックミスとかもあって、迷惑ばっかかけていた。その直後だったんで、やっと仕事ができてよかったなと。(碓井からも)“ナイスGK”って言ってもらえましたから」と笑った。

 終盤はパワープレーに出てきた青森山田に押し込まれたが、我慢強く耐えた。後半37分にはゴール前の混戦でDF櫛引信敏(3年)のシュートに宮本が体を投げ出してブロック。「僕は足元もないし、キックも下手。体を張ることしかできないし、そういう得意なプレーを出せてよかった」と胸をなで下ろした。

 だれひとりさぼらず、11人全員が体を張り、全力で勝利のためにプレーした。全員攻撃、全員守備。一戦ごとにたくましさを増していった山梨学院を象徴する決勝戦となったのは間違いない。

<写真>決勝でも堅い守備を見せた山梨学院大付
(取材・文 西山紘平)

特設:高校サッカー選手権2009

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