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[大学選手権]1年生MF八反田決勝弾!筑波大が初戦突破

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[12.20 全日本大学サッカー選手権1回戦 新潟医療福祉大 1-2 筑波大 夢の島]

 20日、第57回全日本大学サッカー選手権が東京・江東区の夢の島競技場などで開幕し、1回戦4試合が行われた。東京教育大時代を含め史上2位の8度の優勝を誇る筑波大(関東3)は、1年生MF八反田康平(鹿児島中央高)の決勝ゴールで初出場の新潟医療福祉大(北信越)に2-1で逆転勝ち。3年ぶりの全国初戦を白星で飾った。

 創部4年目で全国大会初出場を果たした新潟医福大だが、先発メンバーの半数以上が新潟ユース出身の実力派。4-3-3システムのGKは野原康太(3年=新潟ユース)。4バックは右から川嶋祥(2年=新潟ユース)、高井宏徳(4年=新潟西高)、井上博貴(4年=新潟ユース)、上林克次(3年=大田原高)で中盤は小柳定廣(新潟ユース)、小熊大海(3年=新潟ユース)、豊島透(1年=新潟西高)の3人で構成。3トップには田中泰裕(1年=コバルトーレ女川)、上原義孝(3年=新潟ユース)、田村亮太(1年=新潟工高)が並んだ。
 一方、清水入り内定のFW木島悠(4年=滝川二高)と岐阜入り内定のFW西川優大(4年=浦和ユース)の“関東最強2トップ”(関東1部リーグ22試合で計35得点)を擁する筑波大は4-4-2の布陣。GKは碓井健平(3年=藤枝東高)で4バックは野本泰崇(4年=鹿島ユース)と田中秀人(4年=国分寺高)の岐阜入り内定組を中央に、右SBが森谷賢太郎(2年=横浜FMユース)で、左が原田圭輔(2年=藤枝東高)。中盤中央に同じく岐阜入り内定の永芳卓磨(4年=名古屋U-18)とMF古山賢人(3年=市立浦和高)が入り、右MFは大塚翔太(3年=大津高)、左MFは小澤司(2年=桐蔭学園高)が務めた。

 試合開始から主導権を握っていたのは今年から元日本代表MF風間八宏氏が監督を務める筑波大。永芳、小澤を中心に攻撃を仕掛け、西川、木島の両ストライカーがゴールへと迫る。怒濤の攻撃を披露していた筑波大。だが、肝心なところでパスミスを犯すなど詰めが甘く、また井上ら新潟医福大DF陣が崩されかけてもあきらめずに足を出してボールに触るために、筑波大は“あと一歩”の攻撃ばかり。攻めながら得点のできない、焦れるような展開のまま時間が過ぎていった。
 毎年のようにJリーガーを輩出する筑波大だが、全国は3年ぶり。明らかに硬さがあった。「彼らは勝ち慣れていない。初戦なのに(まるで決勝かのように)大きな試合にしてしまっていた。ひどい試合。いつものパフォーマンスとはかけ離れていた」と指揮官も振り返る不満の内容。逆に時間が進むにつれて勇気を増していった新潟医福大のサイドチェンジを多用した攻撃により、DF陣にほころびが出だした。

 そして0-0で突入した後半16分、新潟医福大は右サイドでフリーとなった上原が決定的な右足シュート。これは筑波大GK碓井の好守に阻まれたが、必死の攻守で優勝候補に食らいつくと30分に歓喜が訪れる。田中と上原のコンビで右サイドを破ると、中央の田村を経由してボールは逆サイドへ走り込んだ左SB上林の足下へ。上林が左足を振り抜くと強烈なシュートがゴールを破った。
 筑波大にとっては攻めあぐねたあげく、相手の少ないチャンスで失点する最悪のパターン。だが、このピンチを「相手は守備に入ろうとしたただろうけど、そこがチャンスだと思っていた」と振り返る2年生SBが救う。失点直後、ドリブルで中央突破を試みた筑波大・木島と相手DFとの競り合いから、ボールが左サイドを駆け上がっていた原田の前方にこぼれる。スピードに乗ったまま拾った原田は思い切った左足シュート。これがゴールを破り、同点に追いついた。
 あっという間の同点劇で試合の流れは傾いた。39分にはドリブルでPAへ侵入した原田を新潟医福大・田中が倒しPK。木島が蹴ったPKは新潟医福大GK野原がストップし、スコアは動かなかった。だが、PKを献上した際に2枚目の警告を受けた田中が退場した新潟医福大には、試合を自らへ傾ける力は残っていなかった。43分、筑波大は小澤の右CKをニアサイドで途中出場のMF八反田が頭で合わせ決勝弾。「難しい試合だった」とエース・木島が話した初戦に1年生が決着をつけた。八反田は「まぐれです。自分が入った直後に先制点を取られた。自分が出て負けたくなかった」。

 今回、全国の舞台に復帰した筑波大だが、出場することが目標ではない。原田が「全国で筑波の力を見せつけたい」と話し、木島も「全国で勝たないと証明できない」と優勝を誓う。苦しんだ初戦について風間監督は「あきらめなかったことだけが収穫」と厳しかったが、劇的な勝利で名門が勢いにのったことも間違いない。

<写真>後半43分、決勝ゴールを決めた筑波大・八反田(右)にチームメイトが駆け寄る
(取材・文 吉田太郎)

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