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[日本クラブユース選手権(U-18)]2戦連続決勝点のFC東京・三田がMVPに「ビックリした」

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[8.3 第32回日本クラブユース選手権(U-18)決勝 FC東京U-18 1-0 柏U-18 ニッパ球]

 第32回日本クラブユース選手権決勝が3日、ニッパツ三ツ沢球技場で行われ、FC東京U-18が1-0で柏U-18に競り勝ち、01年大会以来、7年ぶり2度目の頂点に立った。
 0-0の膠着状態が続いた試合は、後半18分、柏のDF御牧考介(18)が2度目の警告で退場処分となり、一気に動き出す。後半27分、右CKを獲得したFC東京はMF三田啓貴(17)がボールをセットすると、相手の一瞬の隙を見逃さなかった。
 「相手がひとり少なくなって、ショートコーナーをやればこっちが数的優位になるんじゃないかと思った」。素早くニアサイドにいたFW山村佑樹(18)とワンツー。あわててマークに来たDFをドリブルでかわした三田は迷わず左足を振り抜いた。「僕がボールを持ったら、やっぱり(DFが)ひとりしか来なかった。ひとりならかわす自信があった。思い切ってシュートした」。渾身の一撃はDFに当たっても勢いは落ちず、コースが変わってゴール左隅に吸い込まれた。

 昨年までは、いまやトップチームでブレイク中のMF大竹洋平(19)と左MFのポジションを争っていた三田。当時は自らゴールを狙う動きも持ち味だったが、今年に入ってボランチに転向すると、「点を取れる気がしなかった」と攻守のつなぎに奔走する時間が増えた。ところが、1日の準決勝・東京Vユース戦(2-0)でも値千金の先制点。準決勝、決勝という大一番での2戦連続決勝弾で、チームを優勝に導いた。
 倉又寿雄監督は「三田は攻撃のセンスは元々あった。準決勝で見せたようなトリッキーなプレーが得意だった」と言う。「今までは守備にルーズで、すぐあきらめるようなところがあった。そういう部分が去年の後半からできるようになって、今年は一番上の年代で責任感も出てきた。そういう意味で成長してきたので、ボランチで使っている」とコンバートの理由を説明した。本来の攻撃力、創造力に加え、献身的な守備も備わってきたからこそのボランチ起用。「ゲームメイクもできるし、今は左サイドよりボランチが一番適任だと思っている」と絶大な信頼を口にした。
 ボランチでも得点力を発揮できるようになった三田は大会MVPに輝いた。「ビックリした。(MVPは)守備陣だと思っていた。準決勝も決勝も守備陣が頑張って失点ゼロに抑えてくれたから」。殊勲者はそう謙遜し、守備陣に感謝した。この言葉が、チームがひとつになっている何よりの証拠だろう。大竹らを擁してJユース杯に優勝した昨年のチームと比較しても劣ってはいない。三田は「去年は大竹選手とか、椋原(健太)選手とか、個々で飛び抜けた選手がいたけど、今年は平均してみんながうまくて、チームがまとまっている。チーム力が今年の魅力だと思う」と胸を張った。
 4月20日のプリンスリーグ関東・横浜FMユース戦(2-3)以来、公式戦無敗が続いているというFC東京。倉又監督は「私のサッカーは守備がベース。そこができないと試合にも出られない。(プリンスリーグで負けた)レッズ戦、マリノス戦は自分たちのミスから失点した。そういう簡単な失点がなくなってきた」と堅守に自信を見せた。今度は高円宮杯全日本ユース(U-18)選手権。高体連も混ざったユース年代最高峰の大会で、2冠を目指す。

(取材・文 西山紘平)

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