beacon

5年ぶりの2戦連続無得点、玉田「チームとして機能してない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[2.6 東アジア選手権 日本0-0中国 味スタ]

 気温2度の寒空にブーイングが響き渡った。試合後、ピッチサイドでインタビューを受けるFW岡崎慎司の声はブーイングにかき消された。2日のベネズエラ戦に続くスコアレスドローは、ジーコ監督時代の05年5月22日のペルー戦(0-1)、同27日のUAE戦(0-1)以来、5年ぶりとなる2試合連続無得点。W杯ベスト4という壮大な目標を掲げるチームとは思えない2連戦となった。

 チャンスの数はベネズエラ戦よりも増えていた。シュートミス、ラストパスの精度の低さという問題もある。しかし、むやみやたらにショートパスをつないでは相手の網にかかり、簡単にクロスを上げては守備組織の整ったDFラインに跳ね返される攻撃に得点の臭いはしなかった。

 DF田中マルクス闘莉王は試合後、呼び止める報道陣に「余計なことを言っちゃうから」とだけ言い残し、足早にミックスゾーンを通り抜けた。FW玉田圭司は「正直、今は上手くいってない。今日は評価しちゃいけない試合。悪く言うと、チームとしてあまり機能してない。結果的に形もできていないし、崩せていないから」と吐き捨てるように言った。

 サイドから早いタイミングでクロスを上げて、ニアサイドに飛び込む。練習で繰り返してきたパターンに固執しすぎた。MF遠藤保仁は「型にはまったプレーが多かった。崩してからしっかり上げないと、相手は守りやすい。言われたら言われたことだけをする日本人の悪いところが出た」と反省する。

 ベネズエラ戦では選手の距離感が遠く、連動性を出せなかった。この3日間はその修正に取り組んできた。すると今度は「狭すぎるというか、選手同士の距離が近い」(FW大久保嘉人)という逆転現象が起きた。

 狭いエリアでショートパスを回す練習が多いから、試合でも横、横にパスをつなぐばかりで、効果的な縦パスが陰を潜める。密集地帯でパスをつなぎ、簡単に相手に奪われる。監督の指導力が低いのか、選手の応用力が乏しいのか。監督の権限が絶対すぎるために選手が自由にプレーできないのか。いずれにしても、あまりにもチームとしての成熟度が低い。

 試合後、ロッカールームに顔を出したという犬飼基昭会長は「180分点が入っていない。そういう意味で問題。ブーイングには期待の高さを感じるし、どんどんブーイングしてほしい」と語ったが、岡田武史監督は「シーズンが始まったばかりのこの時期にこういう試合ができたので、それほど大きな問題だとは思っていない」と危機感がない。明るい光の見えてこない岡田ジャパン。チーム内の不協和音が高まれば、4年前の悪夢がちらついてくる。

<写真>日本代表FW玉田
(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
東アジア選手権特設ページ

TOP