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楢崎が貫録のPK阻止!「ボンバーでもあそこに飛んでいた」

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[2.6 東アジア選手権 日本0-0中国 味スタ]

 さすがの一言だ。スタンドの悲鳴を大歓声に変えた。格下に敗れるかもしれない絶体絶命のピンチを経験豊富な守護神が救った。

 後半37分、DF長友がハンドして与えてしまったPK。キッカーを務めた中国、楊昊の前にGK楢崎正剛が立ちはだかった。相手の動きを最後まで見て、自身の右側に飛んできたボールを読み切って、しっかりとはじき出した。

 「ボンバー(DF中澤佑二)でもあそこに飛んでた。それくらい分かりやすかった。まあ、たまたまです。PKは止められる時もあれば、止められない時もある。開き直ってやったつもりです」

 大仕事にも、表情が崩れることはない。楢崎は何事もなかったようにたんたんと振り返った。それより「負け試合が引き分けになっただけ。勝たないといけない」と試合結果を憂いていた。

 2日のベネズエラ戦の0-0に続き、2試合連続の無得点。攻撃陣の不安は募った。守備陣も相手が弱いだけに判断しにくい中、楢崎はもっとも充実しているといっていい。さすがは過去3大会連続でW杯代表に選ばれている守護神で、まったく不安がない。

 メディアの前では口数が少ないが、その経験をチームにしっかりと還元しているようだ。試合後のロッカー。ハンドを犯したDF長友が楢崎に『お詫びとお礼』を言いに来た。このハンドは「攻め込まれて中央のカバーに入ったとき、相手のトラップミスが左手に当たった」(長友)そうで、決して故意ではないし、MF遠藤も「長友はいいカバーをしたと思う。ハンドにはなったが、しっかりと対応できていた」と評するものだったが、楢崎はあえて“一喝”した。

 「声はかけました。注意した? はい。どんな? あまりイメージのよくない言葉ですから。。。まあ、戦術的な問題はなくても、少ないミスでゴールが決まってしまう。気をつけないといけないと、怒っておきました」

 多くの経験をしているからこそ、のゲキだった。世界ではほんの少しのミスが命取りになることを知っている。ベテランとしてあえて注意を促し、長友の成長に期待を寄せたのだ。

 「勝てればよかったんですけどね。優勝をあきらめずに頑張りたい」と楢崎。W杯イヤーの2010年、岡田ジャパンの船出は不安が多いが、守護神は問題なし-。ブーイングを出したり、がっくりと肩を落として帰るサポーターたちは、楢崎の存在には、少なからず安堵したことだろう。

<写真>PKを止める日本代表GK楢崎
(取材・文 近藤安弘)

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