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根底から崩れた岡田ジャパン、指揮官は犬飼会長に「進退伺い」

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[5.24 キリンチャレンジ杯 日本0-2韓国 埼玉]

 岡田武史監督の迷走が止まらない。2月の東アジア選手権で1-3で敗れた韓国にリベンジを狙った試合は、あっけなく0-2で返り討ちに遭い、屈辱の連敗。試合後の会見で「1年に2回、韓国に負けて申し訳ない」と謝罪した指揮官は「当然、責任問題も言われると思うので、(犬飼基昭)会長にも尋ねたが、“やれ”ということだったので、前に進むしかない」と明かした。

 W杯本大会の壮行試合。初戦のカメルーン戦まで3週間というタイミングでの「進退伺い」は、チームの壊滅的な状況を如実に表している。犬飼基昭会長としても、ここで解任するわけにはいかないだろう。

 報道陣から「自信を失ったということなのか?」と聞かれた岡田監督は「自信を失っているとかじゃなくて、“続けていいんですか? 会長もいろいろ言われますよ”ということで聞いた」と冗談めかして答えたが、あまりにも無責任な発言だ。

 試合内容も散々だった。球際、セカンドボールでことごとく後手を踏み、目指すべきパスサッカーの片りんも見られなかった。

 「前半、相手が非常にいいプレッシャーをかけてきた中で、中盤でパスが回らず、中盤でカウンターを受けることが多かった。うちのチームは前半0-0が目標。先制されて、守りを固められると厳しい。後半のように(スペースが)空いてきたらボールを回すことも可能だが、前半はある程度守備的な選手でやって、後半、回せる選手を使うとか、そういうやり方も視野に入れないといけない」

 チームのコンセプトも何もない。0-3の完敗を喫した4月のセルビア戦後には「アンカーを置くとか、3バックも考えないといけない」と発言したが、さらに軌道修正。前半は守備的に戦い、相手が疲れてくることを“期待”して後半勝負というゲームプランを掲げるしかなかった。

 「インターナショナルマッチでは、きれいに後ろからビルドアップして崩すというのは限られたこと。韓国のように、長いボールをトップに入れて、こぼれ球を拾ってつなげればいいが、うちはそういう攻撃はできない」。岡田監督はそう力説したが、長身FWを起用せず、あくまで小柄なアタッカーを並べてきたのはだれだったのか。それが日本人の俊敏性やアジリティーを生かした日本らしいサッカーにつながると考えてきたはずなのに、もはやチームの帰るべき場所もなくなってしまった。

 MFパク・チソンのシュートはワールドクラスだったが、韓国の先発11人のうち3人はJリーガーであり、センターバックは2人とも普段Jリーグで戦っている選手だった。“世界”との差を強調した指揮官だが、差があるのは選手の能力ではなく、指揮官のコンセプトであり、チームづくりではないのか。夢も希望も打ち砕かれた壮行試合。岡田ジャパンは根底から崩壊した。

<写真>日本代表岡田監督
(取材・文 西山紘平)

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