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開き直ってW杯へ…本田「負けてもともとという考えもあり」

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[6.4 国際親善試合 日本0-2コートジボワール シオン]

 もう開き直るしかなかった。W杯初戦のカメルーン戦が10日後に迫る中、12年ぶりの国際Aマッチ4連敗。岡田武史監督は「4試合勝つために、弱いチームと組むこともできたが、我々には強いチームとやることが必要だった」と前置きした上で、「選手の自信という意味では、ひょっとしたら不安に思っているかもしれないが、もうここまで来たら逆に追い詰められたというか、選手たちの奮発というか、そういうものが逆に出てくるんじゃないかと思っている」と強調した。

 イングランド、コートジボワールという強国との連戦。確かに守備では一定の成果を得た。イングランド戦ではMF阿部勇樹をアンカーに置く4-1-4-1をテスト。相手が3トップになったこの日は通常の4-2-3-1に戻したが、失点は2点ともセットプレーから。「流れの中でシュートを打たす場面はそんなになかった」という指揮官の言葉は間違っていない。

 しかし、1点取ってからのコートジボワールは完全に試合を流していた。しかも守備に重点を置くことで、攻撃の連動性や厚みは完全に失われている。90分間を通してシュートらしいシュート、チャンスらしいチャンスはなく、枠内シュートも後半5分のMF中村俊輔の直接FKぐらい。MF大久保嘉人は「ゴール前でチャンスがない。それだときつい。揺さぶれてもないし、素直にやっている。左サイドを全然使えないから、張っていても意味ないし」と憮然とした表情だった。

 キャンプで体を追い込んできた影響はあっただろう。選手の体は、かなり重く見えた。後半31分、DF駒野友一のフィードをFW森本貴幸が頭で落とした場面。スペースにだれも走り込めていなかったのは象徴的だった。とはいえ、コンディションが上がれば、状況は変わるのかと言うと、そこは未知数なところもある。

 MF本田圭佑は「ここまで来たら全員でポジティブに考えていくしかない」と力説していた。「みんな負けると思ってるんでしょ? だったら“負けてもともと”という考え方だって、持ちようによってはありだと思う」とまで言う。

 「バルサとやるわけじゃない。オレらよりは強いけど、突け入る隙はある。あとは思い切って、自分たちの持っているものを全部出すだけ」。泣いても笑ってもW杯は近づいてくる。残された時間はあとわずか。岡田ジャパンがいよいよ崖っ縁まで追い込まれた。

(取材・文 西山紘平)

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