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日本vsデンマーク 試合後の岡田監督会見要旨

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[6.24 W杯グループリーグE組 日本3-1デンマーク ロイヤル・バフォケング]

 日本は24日、グループリーグ最終戦でデンマークと対戦。引き分け以上でグループリーグ突破となる一戦は、前半17分にMF本田圭佑が直接FKを叩き込み、先制点を奪うと、同30分にも今度はMF遠藤保仁がFKを直接決めた。後半36分に1点を返されたが、同42分には途中出場のFW岡崎慎司がダメ押しゴール。3-1の快勝で2大会ぶり、自国開催以外では初となる決勝トーナメント進出を決めた。
以下、試合後の岡田監督会見要旨

岡田武史監督
「引き分けでも突破できるということで受けに回る戦いだけはしたくなかった。攻撃的な4-2-3-1で入ったが、中盤のゾーンの間、間を使われてピンチが何回かあった。急いで4-3-3に戻して、なんとかディフェンスが安定したあと、いい形でFKで2点取れた。2点差は怖い点差ということで、もう1点取りたかったが、チャンスがあっても取れなくて、相手が早めにパワープレーに来たが、選手は動じることなく対応して、3点目を決めてくれた。理想的な展開で終わった。臆することなく、冷静に熱く戦ってくれた素晴らしい選手に感謝したい。我々のチームには他のチームにない力がある。サポートメンバーを含めた選手27人とスタッフがひとつの目標に向かってひとつになる。サッカーはチームスポーツであることを証明しようとスタートして、そのことを証明できた。だが、うちのチームの終着点はまだここではないと思っている。次のパラグアイ戦に向けて、今日はリラックスさせてあげたいが、明日からスタートしたい」

―これまで自国開催以外では勝ったことがなかったが、南アフリカという国が日本に合っているのか?
「いろんな要因があると思う。私が途中から代表監督を引き受けたとき、W杯は冬で、暑くないと。だから走るサッカーをやる。走れる環境にあると。この涼しい環境はプラスだったと思う。ただ、それ以上に、開幕前の苦しい状況でチームが一丸となって初戦に勝てたことがみんなの自信になった。日本はこれまで本大会でなかなか持てる力を出せなかったが、そういうチームの力の中で個々の力も出せるようになったのが大きい」

―相手がパワープレーに来ても動かなかったが?
「パワープレーへの対策の部分はいくつかあった。基本的にいいボールを蹴らせない、しっかり競る、こぼれ球を拾うという原則があった。プラス、ファウルをしないというのもあったが、ファウルはしてしまったが、その原則をしっかりやっていたので、バランスを崩したくなかった。それにうちのヘディングに強い選手を出しても勝てる保証はなかった。それなら周りで拾う、カバーリングの状況を続けた方がいいと判断した」

―世界に対してもいい印象を与えられたと思うか?
「正直に言うと、まだまだ世界との差がある。互角に攻め合ってもうちの選手はそこそこやるが、同じチャンスの数をつくったら、決定力の差でやられる可能性がある。中盤のミスからのカウンターでピンチも招く。実際、オランダ戦も攻めに行って、2回カウンターからピンチを招いた。まず結果を出すことから始めて、選手が自信を付けてきたら、相手にもよるが、デンマークに対しては受けに回りたくないと思った。チームがちょうど成長してきているところなので、それを止めたくないというのもあった。だから、恐れずに勇気を持って攻めようと選手には伝えた」

―グループリーグを突破して見えたことは?
「結果としてグループリーグを突破したということはあるが、やはり世界の中でトップレベルのチームとなかなか試合をする機会がないということで、そういうレベルの本気の相手とやったらどうなるのか手探りの状態だった。これぐらいはできるが、これぐらい無理をするとやられるとか、選手が肌で感じたことが大きい。我々のチームは中盤でシンプルにボールを回すのが得意だが、中盤で手数をかけすぎると、逆にカウンターを受ける。そこのさじ加減、判断を選手ができるようになった。そこは自信が大きい。それが一番大きい」

―なぜ4-2-3-1でスタートしたのか?
「今まで中盤5人のゾーンで、間を開けずに縦パスを入れさせないスタンスでやってきた。4人のゾーンにすると、うちの場合、横の幅を全部カバーできなくて、間、間で向こうにパスを受けられていた。特にトマソンが流れてきたときにカバーができていなかった。5枚の中盤にすると、中盤がトマソンに付いていかなくても、ストッパーが付いて行って、ボランチのひとりが最終ラインをカバーできる。トマソンの武器は分かっていたが、2人のボランチでは対応できなかった。できるかと思っていたが、ちょっと難しかったというのが現実」

―W杯に入ってからシステムやメンバーを変えたことが結果につながったのか?
「今年に入ってから結果が出なかったとかいろいろあったが、我々のやろうとしているサッカーの中心となる選手たちの不調がJリーグでも代表でも続いていた。(彼らの調子が)戻るんじゃないかと期待していたが、踏ん切りを付けなきゃいけないところで起用法、システムを変えた。W杯の重圧は日ごろ試合に出ている選手の方が強かったと思うし、いろいろ話してみても重圧みたいなものを感じていたので、思い切って決断しないといけないと思った。これはある意味で当たったと言えるが、もし重圧や不調がなければ、前のやり方でもいけたかもしれない。これは分からないが、自分の中ではそう思っている」

―今日の1勝は岡田監督にとって忘れられない1勝か?
「W杯の勝利はどれも忘れられないが、自分としてはカメルーン戦の1勝の方が大きかった。あの1勝がなかったら何もなかったと思うので、非常に印象深い1勝だった」

―3試合を通じて選手の力で驚いたことは?
「先ほど中心選手の調子が上がらなかったと言ったが、(調子が)戻ってきた選手もいるし、逆にそれ以外の選手が調子を上げてくれた。それは自分にとってはラッキーというか幸せなことだった。それがなければ、今はなかったと思うし、そういう選手たちがここまでできるんだという驚きもある。今日の試合で相手がパワープレーに来たときに、ベンチに“(阿部)勇樹を下げるのか、下げないのか”ということを聞いてきたが、私の指示の声が通らなかった。そしたら選手は自分たちで判断して、相手が4枚のときは2枚が下がって対応していた。これは素晴らしいことで、ここまでできるようになったんだというのはうれしい驚きだった」

(取材・文 西山紘平)

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