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自信深めるザック、アジア杯は「成長」と「結果」の両立を目指す

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[10.12 国際親善試合 韓国0-0日本 ソウル]

 アルベルト・ザッケローニ監督にとって初のアウェー戦、初の日韓戦は0-0の痛み分けとなった。「アルゼンチン戦同様、フレンドリーマッチとは言えない雰囲気になった」と、負傷者を出すなど激しい肉弾戦となった試合を振り返り、「2つのチームが全力を出し切った。2つのタイプの違うチームだった。韓国はフィジカルとガッツを前面に押し出し、日本はテクニックをベースにボールポゼッションを高めて仕掛けるサッカーだった」と分析した。

 試合開始直後は韓国の勢いに押される場面もあり、DF駒野友一の負傷交代というアクシデントにも見舞われたが、徐々に落ち着きを取り戻した。後半立ち上がりも韓国のFWパク・ジュヨンを狙ったパワープレーに押し込まれたが、守備陣がしっかりと対応。シュート数は6本対9本と互いにチャンスの少ない試合だったが、終盤はカウンターから決定機をつくるなど、勝ち切るチャンスは日本の方が多かった。

 「日本のレベルなら、ホームでもアウェーでも変わらないサッカーができると思う。選手にも『ホームと変わらずやってくれ』と話していた。韓国も気持ちを押し出したサッカーをしてきたし、常に主導権を握れるわけではなく、こういう試合になったが、ホームでもアウェーでも変わらないサッカーをするのが私の目的」。初のアウェー戦を終え、指揮官の手応えはさらに深まったようだ。

 一方で、課題についても指摘した。「試合の流れを読むこと。1試合の中でずっと横パスをつないでいてもダメだし、ずっと縦パスを放り込んでもダメ。試合の流れを見て、状況に応じた戦術を使い分けられるようにしたい」と、今後は試合中の柔軟な戦い方を植え付けていくつもりだ。

 アルゼンチン戦(1-0)、韓国戦の2試合を終え、1勝1分、1得点無失点。上々の船出と言えるだろう。年内に公式戦の予定はなく、12月に強化合宿を行う予定はあるものの、1月7日開幕のアジア杯2011に向け、強化の日程は限られている。

 「今回の合宿で約10日間、選手と一緒にいたが、その間に2試合あり、リカバーもあって、まだまだ選手に伝えたいこと、やってほしいことは伝え切れていない。これからのスケジュールを見て、ゆっくり成長していこうと決めた。最終的な目標は14年のブラジルW杯。その途中にアジア杯やコパアメリカ、親善試合もある。それらの試合をへて成長していくことが我々の目的」

 アジア杯で結果を求めないわけではない。しかし、アジアで最も難しい試合のひとつであろうアウェーでの日韓戦を0-0で終え、「成長」と「結果」の両方を追い求めていけるという確信が、指揮官の中に芽生えたのかもしれない。

<写真>ザッケローニ監督
(取材・文 西山紘平)

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