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「一人じゃない」、遠藤が芸術FKに込めた思い

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[3.29 東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ 日本代表2-1JリーグTEAM AS ONE 長居]

 気持ちを込めた右足から放たれたキックが鮮やかにゴールネットを揺らした。前半15分、右45度の位置で獲得したFKのチャンス。日本代表MF遠藤保仁(G大阪)が右足で巻いて蹴ったボールは5人の壁の右側を抜き、ゴール右隅に吸い込まれた。

「どっちかと言うと、左(足)の方が狙いやすかったけど、壁とかGK(の位置)を見て、自分が蹴った方がいいかなと。ギリギリまで待って、自分の方が蹴りやすそうだった。入ってよかったです」

 位置的には左足でファーサイドを狙うのがオーソドックスな形だ。GK楢崎正剛のポジションも壁のつくり方も、MF本田圭佑の左足を警戒していた。その裏をかく頭脳プレーと、正確無比な右足のキック。昨年6月の南アフリカW杯・デンマーク戦を彷彿とさせる遠藤の芸術FKだった。

「今日の試合を通じて、勇気とか元気を少しでも感じてもらえればうれしいなと思ってプレーした。自分が点に絡めたのは良かった」

 得点後はベンチ前で控え選手も含めた全員で「一つ」になり、腕に巻いた喪章を頭上にかざし、天に向かって腕を突き上げた。

「試合開始ギリギリに『せっかく集まっているんだから何かやれることをやろう』という話になって、あれをやることになった。11人だけで戦っているわけじゃない。ベンチの選手を含めてみんなでやっている。『だれが決めてもやろう』と試合前から話していた」

 みんな一人じゃない。「向こうの方にも届いて、何かを感じてくれたらうれしいです」。代表選手たちが伝えたかった思いは、きっと被災地の人々のところにも届いたはずだ。

[写真]先制点を決めた遠藤

(取材・文 西山紘平)

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