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日本vsイエメン 試合後の監督会見要旨

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[1.20 アジア杯予選 日本2-1イエメン 熊本]

 日本代表は20日、アジア杯予選初戦でイエメン代表と対戦した。前半7分、FW岡崎慎司(22=清水)の代表初ゴールで先制。後半2分にまさかの同点ゴールを許したが、同21分にFW田中達也(26=浦和)が決勝点を決め、2-1で競り勝った。ホームで格下相手に思わぬ苦戦を強いられた岡田ジャパン。勝負の09年は“冷や汗発進”となった。
以下、試合後の監督会見要旨

<日本>
岡田武史監督
「選手は試合前からやる気に満ちて、モチベーションが高かったので、きょうはハードワークしてくれると思っていた。確かにハードワークしてくれたが、立ち上がりで簡単に点を取れ、相手がダブルリベロのような感じで守備を固めてきたために中盤やサイドバックがフリーになり、簡単にできるような気になって一発狙いや強引な突破が増えた。同時にやる気が裏目に出て、中盤からすごくスピードアップしてしまってミスが出たり、そのままのスピードでいって最後に詰まってしまう形が出てしまった。後半立ち上がりに1点取られ、あまり策を打ちたくはなかったが、自分たちで解決できそうになかったので、システムを変えて中盤を厚くする形にしたら、だいぶ流れが出てきた。

 相手も国を代表するチームだし、そう簡単にはいかない。入ったと思うシュートもかき出される。これが公式戦。そういう意味では、経験が少ない選手が厳しさを分かっただろうし、ボールを持ってから何かしようというのでは遅いことも分かったと思う。その上で勝ち点3を取れたということで、私としては満足している。まだやらなくてはいけないことが多いのは分かっているが、1月10日からオフの間も練習してキャンプに臨んでくれて、ここで結果を残してくれた選手に感謝したい」

―巻を投入した狙いは?
「相手が1点取って、引いて守備を固めてきたので、中央は難しいからサイドからになると。中盤をダイヤモンド型にしたことで、サイドバックが上がってクロスが入るようになったので、巻の高さとクロスボールに突っ込む迫力が生きるだろうと思った。すぐのCKもそうだし、彼が飛び込んでくれることで相手も混乱したと思う。こういう拮抗した試合では経験ある選手はありがたい。そういう意味できょうの彼のプレーには満足している」

―岡崎の評価は?
「岡崎は4点ぐらいバーやポストに当てていたので、試合後“ハットトリックだったね”とみんなに言われていたが、彼はああいうクロスに入っていくものを持っているし、若い選手は足元にボールを持ってから何かをしようとする選手が多いが、岡崎はボールを受ける前に動ける選手。その意味で彼の存在は大きかった。若い選手に関しては、少なくともボールを取られた瞬間に切り替える速さ、下がらずに取り返しに行くところは、ほとんどの選手が理解してやってくれた。それは大きな収穫だった」

―守備面の課題は?
「DFが大きなミスをする場面もなかったので、中央の2人と青木の3人で守る形が多かったが、非常に安定していた。セットプレーからの1失点は香川のボールの取られ方が悪かったところに尽きる。ディフェンスで何か課題が出たかというのはあまりチェックできなかったと思う」

―VVVの公式サイトに本田圭佑が代表に招集されたという話が載っていたが?
「海外の選手はオーストラリア戦の2日前にならないと集められないが、その前にバーレーン戦、フィンランド戦もある。合宿をしていて、どうしてもそのポジション(攻撃的MF)が物足りないと感じていた。コンディションがいい選手で、来られる選手ということで、その時期に試合がない本田圭佑を招集した。前にも招集して予選も出ているし、やり方は理解してくれていると思う。(VVVの)ビデオを見ていたら、以前よりも運動量も多くなって、コンディションも良さそうだった。バーレーン戦に出してくれないかと(VVVに)お願いしたら、出してくれるということで感謝している」

―28日のバーレーン戦のメンバーは決めているのか?
「もちろん1月10日に集めたメンバーとバーレーン戦に集めるメンバーというのはある程度、想定している。1月21日に集合するメンバーにはあらかじめ伝えて、コンディションをつくってきてもらわないといけないので、ある程度は伝えている。天皇杯やクラブW杯をやっていて集められなかった選手と、今回の合宿でよかった選手、ここまで10日間以上やってきてメドが付いたので、それを合わせたメンバーで行く。(今回のメンバーから)入らない選手も何人かいる。あきらめるのは自由だが、我々の目標に向かって本気でチャレンジする気があるのなら、もう一度チャレンジしてほしいと伝えている」

―ハーフタイムの指示は?
「前半立ち上がりはテンポがよかったが、徐々に行けるという雰囲気、慢心のようなものが出た。パスを探してから蹴る、受けてから動く、一発狙いが増えてリズムが出なくなった。中盤からのスピードアップも速くて、スピードアップすれば当然ミスが出るし、最後のところでのスピードアップの効果がなくなるので、ハーフタイムには中盤で速くサポートしてシンプルに動かしていこうと伝えた。相手は中央に2枚余っているから、ゴリ押ししても難しいと。サイドを変えてから爆発的なスピードアップをするという指示がメインだった。選手には戦う気持ちがあったし、ゲキを飛ばすということはなかった」

―例年の1月に比べてコンディションが良かった?
「キャンプの打ち上げで話したように、このキャンプをカタール戦のころのメンバーでやっていたら、ここまで良くはなかったと思う。新しい選手が多かった分、いい状態で集合してくれた。何とか代表でやりたいという強いモチベーションを感じたし、練習もスムーズに、大きなケガ人も出ずに来れた。この時期にこれだけできたのは、選手たちのやる気と準備してきてくれたことに尽きると思う」


<イエメン>
●サミ・ハサン・サレハ・アルナシュ監督
「きょうはいい試合だった。テンポが速く、選手は自分のやるべきことをやったと思う。両チームが最後までいいサッカーをした。我々は最後まで警戒深くプレーしたし、最後は引き分けになるかと思ったが、残念ながら負けてしまった。ただ、日本は強く、この結果はおかしくない。我々の滞在は1週間にも満たないし、コンディションはよくなかった。休み明けの選手ばかりで練習もあまりできなかったが、面白い試合だったと思う」

―守備の指示は?
「一生懸命、ゴールを守ろうとした。ディフェンスに2人を追加して、できるだけ日本の攻撃を防ごうとした。選手はよくやってくれたと思う」

―寒さの影響は?
「寒さは悩みだった。3日ぐらいしか滞在していないので、寒さに慣れることはできなかった。寒さの影響はそんなになかったと思うが、選手は暑いところから来ているので、日本の寒さに驚いている選手もいた」

―セットプレーから得点したが?
「セットプレーは練習してきた。日本のDFには背の高い選手もいたが、素早いプレーだったので防ぐ時間がなかったと思う。ただ、日本の守備はとても強いと思っている」

(取材・文 西山紘平)

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