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日本vsオーストラリア 試合後の監督会見要旨

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[2.11 W杯アジア最終予選 日本0-0オーストラリア 日産ス]

 日本代表は11日、W杯アジア最終予選でオーストラリア代表と対戦。3連勝で首位に立つ最大のライバルとの一戦は、優勢に試合を進めながらオーストラリアの牙城を崩せず、0-0の引き分けに終わった。
以下、試合後の監督会見要旨

<日本>
岡田武史監督
「前半の途中から後半にかけて私たちのやりたいサッカーを素晴らしく具現化してくれた。(中盤で)プレッシャーもかけていたしサンドイッチにもした。ディフェンスも数的有利をつねに作ってくれた。攻撃はサポートを早くシンプルにボールも人も動く連動性のある攻撃ができた。何度かチャンスがあったにもかかわらず決め切れずに0対0。結果については満足できないが、内容については満足できる。このやり方の精度と回数を増やす努力をすることでいいと確信をもった。このチームは確実に進歩してきている。

 立ち上がりは硬くリスクも侵さないおっかなびっくりな状態だった。その後の戦いは、このくらいの相手にも私たちのやり方が十分に通用するということを証明してくれた。ただ今の精度と回数では不十分だということもわかった。日本が世界と戦う方法は、この方法(コンパクトに細かく密集型の展開)でいいとい思う。この方法を続けてしっかりと精度と回数を上げることだと思った。

 なぜ松井を先発したか? ひとつには、大久保の慣れない海外からの帰国の試合であること。長谷部が慣れない帰国で後半バテバテだったことが経験知としてあった。

 もうひとつの理由は、松井のところでボールがおさまり、ひとつの展開ができることを期待した。相手がゆるんだところで大久保に代えると考えていた。点が取れなかったという点でこの選択がダメだということならそうだが、じゃあまったくダメなのかというとそんなことはなかった。ある程度機能して使えるという判断だ。

 なぜ中村憲剛を外したのか? 病気とかコンディションの問題ではない。様々なケースを想定して橋本がいればすべてに対応できると考えたから。闘莉王を前戦に上げるときのディフェンスをやることを考えると橋本だった。(以前にも憲剛のディフェンス力の不安を考えて稲本を選択したことがあった)

 オーストラリアは、結果として守りきったという試合だったと思う。私たちはチャンスを作らせなかったが、攻撃したが点が入らなかった。相手のコンディションが悪いとかいいとか、そんなことで私たちの戦い方がウロウロするようなことではない。やはりどんな相手にしても勝ちきるということが大事で、それができなかったのは私たちのやり方のまずさではなく、精度と回数の問題。

 代表はそんなに一緒にいる時間もない。こうした本番の試合を経るごとにチームが進化していく。(この発言は暗にこのメンバーを今後はあまりいじらないということを示唆していると思う)

 本日のセットプレー。私たちにはよいキッカーがいる(ある意味日本代表は俊輔と遠藤を軸に考えているということ)。ニアでつぶれて展開をするところはうまくいっていたが(このニアの接近戦に岡田ジャパンの特色が見えてきた)、もう一つだった。セットプレーについては、もう少し策を使ったほうがよかったかと思っている。(本篇のプレーに岡田さんはあまり策を弄する戦い方をこの代表ではしてこなかったしこれからもしないだろう。ただセットプレーは別ということか)

 ハーフタイムに闘莉王に「仲間を信じてバランスをくずさないように」(無暗に前にいくな)と指示した。このパターンを最後の最後まで続けていくことが大事だと思っていた。パワープレーをすることは考えていなかったし、通用する相手ではないと思っていた」

<オーストラリア>
●ピム・ファーベーク監督
「特に前半の私たちのディフェンスは、よかったと思う。最後の20分くらい私たちは疲れて危なかった。ということでオーストラアにとって0対0というのはとてもうれしい結果といえる。長旅。準備なし。時差もある。そんな悪い条件の中で私たちのチームはよくやった」(ピムの頭の中にはすでに本大会で指揮する自分の姿があるように思える表情)

―勝ちたかったか?
「当たり前だ。どんな試合だって勝つほうがいい」

―ボランチ3人とディフェンス4人で守ったか?
「そうだ。日本のMFの速さやコンビネーションに対応するにはそれが必要だった。そして、彼らはみごとになんとかしてくれた。最後の15分くらいは危なかったが。

 バーレーン戦、日本戦を終えてわが国は6ポイント差の1位。残り4試合でホームが3試合ある。今日のこの0対0はW杯本戦へ、極めてありがたい結果であることは間違いない。次のウズベキスタン戦は、ホームの素晴らしい雰囲気の中で1週間の準備期間もある。もういまから楽しみだよ(ニッコリ)。

 今日のケーヒルは、大変だったと思う。中澤と闘莉王は素晴らしいディフェンスをした。フィジカルも強い。ケーヒルには、ボールを送って、それをゴールに運んで欲しかったが、それはうまくいったとは言い難い。彼のパフォーマンスが他の試合のほうがよかったということは言える。それは、彼がダメというよりも日本のディフェンスがよかったのだと思う。だって彼は、この3週間で8試合もやってるんだから(当然途中交代を考えていたこと)。得点経過や様子をみながらケネディとの交代をいつにするかを考えていた。今日のこの試合に関しては80分での交代でよかったと思う。よくやってくれた。

 スコット・チッパーフィールドが最初の10分間は少しとまどっていたがそのあとにこの試合の無失点に大きく貢献してくれたのは、このチームにとって今後大いに期待できる要素となった。うれしかった。

 日本チーム思ったとおりの強さで驚きはなかった(ピムは東アジア選手権も見に来ていた。日本を熟知が彼の売りでもある)松井と大久保の交代は驚いたが…。ウズベキスタン対バーレーン戦の結果によっては、明日の朝食の時間に点数計算をして、はたして勝ち点は15点必要かどうかを考えることになるだろう」

<写真>日本代表岡田監督
(取材・文 戸塚隆)

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