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人生初ハットにも淡々、岡崎「1試合1点の方が価値がある」

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[10.8 アジア杯予選 日本6-0香港 アウスタ]

 日本代表岡崎慎司(清水)が人生初のハットトリックを達成した。清水が本拠地とするアウスタでの代表戦。試合を通して繰り返し『岡崎コール』が鳴り響いた最高の舞台で、最高の結果を残した。

 「高校時代も練習試合ではあっても、公式戦でやったことがない」という生涯で初めてのハットトリックは、日本代表の歴史でも00年10月17日のアジア杯・ウズベキスタン戦で高原直泰と西澤明訓が達成して以来、9年ぶり。史上29回目、通算18人目のハットトリック達成だった。

 ただ、試合後の岡崎は満面の笑みではなく、むしろ安堵の表情を浮かべていた。「(点を)取らないといけないという気持ちが強くて、相手も格下だったし、チャンスも多かった。もっと決められるところもあった」。シュートは実に8本。その多くが決定機だったこともあり、3得点にも満足していなかった。

 実際、1点目も2点目も、ゴールした直後に派手なパフォーマンスはなく、淡々としていた。喜びを表に出したのは3点目を取ったときぐらい。「初ハットだったので。それぐらいですかね、うれしいのは」と冷静だった。

 これで代表戦17試合で11得点目。この日も他の攻撃陣は相次ぐ決定機を逃し、得点を決めたのは岡崎以外はすべてDF。決定力不足を叫ばれて久しい日本代表にとって、のどから手が出るほど欲しかったストライカーの誕生だが、新エースはどこまでも貪欲だ。

 「(ハットトリックより)1試合1点取る方が価値があると思っている。(17試合11点というのも)2点取っている試合があって、そういう記録になっている。取れなかった試合は反省しているし、落ち込むし、取れない試合をなくしていきたいと思っている。1試合1点取ることを考えていきたい」

 これが日本代表でハットトリックを記録した男の口から出る言葉だろうか。『FOOTBALL NIPPON VOL.18』に収録されているインタビューでは「一番前に行かないと自分は止まらない。だからそうなってくると、単純に世界で一番のストライカーになるしかない」「記憶に残るストライカーになりたい」と話していた(詳細はコチラ)。「W杯得点王」という壮大な目標を胸に秘める岡崎。その夢を叶える日まで、前に前に突き進んでいく。

<写真>日本代表FW岡崎
(取材・文 西山紘平)

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