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苦悩を深める本田、2戦連発にも浮かない顔

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[10.14 キリンチャレンジ杯 日本5-0トーゴ 宮城ス]

 2戦連続ゴールを決めたMF本田圭佑(VVV)だが、試合後は反省の言葉しか出なかった。後半40分、MF大久保嘉人のシュートをGKがファンブルしたこぼれ球を押し込み、ダメ押しの5点目。10日のスコットランド戦(2-0)に続く2戦連発となったが、「反省しどころ満載」と表情はさえなかった。

 頭に残っていたのは後半27分のシーン。MF中村俊輔の左クロスをファーサイドで待ち受け、フリーでヘディングを放ったが、ゴールポストを直撃した。「あのヘディングは決めないといけないし、ミドルシュートも枠を捉えないと。シュートまでの行き方も、もう少し迫力があってもよかった。まだまだです。課題をオランダに持ち帰って、しっかり取り組んでいきたい」と、本田らしい“ビッグマウス”は最後まで聞かれなかった。

 解消できないジレンマがある。チームの戦術に沿ってプレーをするか、自分の持ち味を出すか。今合宿は、その悩みと戦う日々だった。トーゴ戦前には「なかなか上手くいかない。難しいですね。そこのバランスは一生付きまとう」と苦悩を明かしていた。

 強引な突破やシュートは本田にしかない武器であり、そこが期待されて代表にも呼ばれている。しかし、チームとして早いパス回しからのクロスなどシンプルなサッカーをコンセプトに掲げている以上、本田らしさの“出しどころ”が難しい。DF田中マルクス闘莉王も「個人技に走ることがある。悪いことじゃないけど、それをいつ使うかはこれからやっていかないといけない」と苦言を呈するほど。ある意味、チーム内で“浮いた”状況にいる。

 本田がどこでバランスの折り合いを受け、吹っ切れるか。あるいはチームとして本田の特徴を生かす形を取れるか。今の本田なら日本代表に必要ないとも言えるし、“宝の持ち腐れ”になっているとも言える。W杯まで残り8ヵ月。突き付けられた難題を岡田武史監督はどう解決していくのか。

<写真>日本代表MF本田
(取材・文 西山紘平)

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