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[戦評][女子W杯]大きかった勝ち点1と繰り返されたミスからの失点

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[9・11 07年中国女子W杯グループステージA組第1戦 日本女子 2-2 イングランド女子 上海]

 日本が勝ち点1を拾い上げた。MF宮間の劇的なFK2発。勝ち点3獲得こそならなかったが、大橋監督は「非常に難しい試合だった。首がつながった」と振り返ったほど、大きな意味をもつ引き分けだ。ロスタイムが表示の3分を過ぎてもイレブンは諦めなかった。時間のある限り全員が可能性に懸けた。抜群の集中力と勝負強さを発揮した宮間が「みんなが作ってくれたチャンスだった」と仲間に感謝したとおり、宮間の“ロスタイム弾”は全員で奪った1点。1995年大会以来、4大会ぶりとなるグループステージ突破のためには絶対に負けられない試合だった。それだけに土壇場で得た勝ち点1は、目標である決勝トーナメント進出へ向けチームの勢いをつけるにも十分なものだった。
 一方で日本にとっての初戦は世界舞台におけるミス、失点の怖さを味わった試合だった。日本は前半10分過ぎから両サイド裏のスペースを中心に突いてくる相手のスピードある攻撃に苦戦を強いられた。身体能力で劣る日本が1対1のスピード勝負、フィジカル勝負への対応を強いられる厳しい時間が続いた。
 それでも先制する前までは耐えられていたが、失点して攻めるしかなくなったイングランドに対し、日本は攻守ともに中途半端だった。後半36分の同点ゴールは中盤でパスカットされて、1本のパスと個人技でゴールをこじ開けられたもの。38分に許した勝ち越しゴールも、相手エースのFWスミスに対しDF陣が淡白な守備でシュートまでもちこまれた。大会前最後の親善試合ブラジル戦(2日)で自陣でのパスミスから失点を喫し、DF磯崎主将が「ワールドカップではああいう形の失点が増えてしまう。修正しないと」と口にしていたが、現実となった。
 イングランドと引き分けたことで、準々決勝への進出を懸けた争いが得失点差によって決まる可能性も高まった。それだけにこれからは1得点、1失点が重要となる。だからこそ日本にとってやや多い「ミスからの失点」をしないこと。気の抜けない世界との戦いで8強に残るためには、より集中した攻守が必要となりそうだ。

(文 吉田太郎)

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