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【連載】南アフリカへのサバイバル(4)MF石川直宏(F東京)

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 MF石川直宏(F東京)が驚異的な回復力で、W杯イヤー本格始動となった指宿合宿に間に合わせた。昨年10月17日の柏戦で右ひざを負傷。約5年8ヵ月ぶりに代表復帰した矢先のアクシデントだった。

 診断は左ひざ前十字じん帯不全損傷、左ひざ外側半月板損傷。シーズン終盤を棒に振るだけでなく、代表定着に向けた大事な時期に負傷離脱を余儀なくされた。それでも焦ることなく、地道にリハビリをこなした。順調な回復を遂げた石川を岡田武史監督はすぐさま招集。期待の大きさを伺わせた。

 指宿合宿初日の25日は合流を見合わせ、F東京の2部練習に参加。コンディションや対人プレーなどを最終確認し、満を持して鹿児島に入った。代表に合流した26日からフルメニューを消化。27日にはフルコートでの紅白戦に参加し、29日の鹿屋体育大との練習試合も45分間プレーした。

 「自分のイメージと実際のプレーにはギャップもあったけど、それを感じられたことがよかった。実戦を経験することで次に生かせるし、対応もできる」。納得できるプレーができたわけではない。それでも約3ヵ月ぶりとなる対外試合を終えた石川はうれしそうに話していた。

 現状に満足しているわけではない。ケガをする前の状態に戻すだけでは“現状維持”と変わらない。「順調に来れていると思うけど、物足りないところもある。この時期にここまでできているのはイメージできていなかったけど、(代表に)残っていくためにはもっともっとやらないと」と力説する。

 ケガをする前の自分よりもさらにパワーアップする。それができなければ、南アフリカには行けない。復帰間もない男とは思えないほど、石川は自分を追い込んでいる。「去年のことを思い出すだけでなく、ステップアップしたい。復習するだけじゃなくて、上積みしていくことが大事だと思う」と貪欲に語っていた。

 2日のベネズエラ戦(九石ド)は、公式戦の舞台で自分のコンディションを再確認し、さらなる成長に必要なことを感じ取るための試合となる。相手は南米独特の身体能力の高さもあれば、国際試合の激しさもあるだろう。「怖さはもう割り切っている。全力でチャレンジしたい。自分は、余裕を持ってプレーできるような立場じゃないので」。1日1日、1試合1試合がW杯に向けて大事なアピールの場。負傷明けは言い訳にしない。1秒たりとも、無駄にするつもりはない。

<写真>長期離脱からカムバックしたMF石川直宏は順調な回復ぶりを見せている

(取材・文 西山紘平)

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