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本田がロスタイム弾で"一発回答"、「気分は悪くない」

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[3.3 アジア杯予選 日本2-0バーレーン 豊田ス]

 起死回生の一発は、岡田武史監督が用意した「本田システム」への“一発回答”でもあった。代表生き残りへ背水の思いで試合に臨んだMF本田圭佑(CSKAモスクワ)が土壇場で結果を残した。

 1-0のまま試合終了かと思われた後半ロスタイム、DF内田篤人の右クロスにニアサイドでFW森本貴幸がつぶれると、ボールは中央でフリーの本田のもとへ。体を投げ出しながら頭で捉え、ゴールネットを揺らした。

 「危機感を持って挑んだし、点が取れなかったら、ここ(ミックスゾーン)でしゃべらないでおこうかなと思っていた。ラスト5分は時計をちらちら見ながらやばいなと。それでもあきらめないでいこうと思ったら、最後にモリ(森本)がつぶれてくれて。おいしいゴールが来るものですね」

 今回がラストチャンスだと覚悟を決めていた。試合前から繰り返した「一切の言い訳は許されない」との言葉。本人の希望でもあり、所属クラブでもプレーしているトップ下のポジションを用意され、しかも時間は90分間、与えられた。

 フル出場は昨年5月27日のチリ戦(4-0)、同10月10日のスコットランド戦(2-0)以来、3度目だが、毎試合得点を決めたことになる。90分あれば1点取る。日本人屈指の得点力を数字でも証明してみせた。

 90分を通して満足いくプレーができたわけではない。前半はなかなかボールに絡めず、一発のスルーパスでチャンスを演出する程度。シュートもチーム最多の5本を放ったが、最後の最後にようやく決まった。

 だが、本人が言うとおり、システムも連係も「ぶっつけ本番」だった。いきなり機能しろというのも酷な話。「いい時間帯と、コミュニケーションが取れていない時間帯とが交互に見えた試合」と反省を忘れなかった。

 「ずっと各国のリーグでやっていると、自分がどういうサッカーをしたいかというのがそれぞれ哲学が違ってくる。そういうちょっとしたズレがミスにつながったり、なかなか点につながらなかったりする」。海外組が次に代表に合流できるのはW杯直前の5月。連係を深める時間は限られている。だが、可能性は感じさせた。

 「これからも厳しいレギュラー争いが待っている。今まで以上の危機感を持って、明日から準備することになると思う。可能性を見い出せたか? まあ、勝てたことと、おいしいとはいえ、ゴールを取れたこと。気分は悪くない。それは次につながると思う」。昨年の代表戦後はなかなか見られなかった笑みも漏れた。本田にとって12試合目の国際Aマッチが、南アフリカW杯への確かな第一歩となった。

<写真>後半ロスタイムに追加点を挙げた日本代表MF本田
(取材・文 西山紘平)

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