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[高校選手権]初出場・山梨学院が県勢初V&23年ぶり快挙に王手

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[1.9 全国高校選手権準決勝 矢板中央0-2山梨学院大付 国立]

 山梨学院大付(山梨)が初出場初優勝に王手をかけた。矢板中央(栃木)との準決勝は前半34分、MF鈴木峻太(3年)のゴールで先制すると、後半40分にMF碓井鉄平主将(3年)が追加点を決め、2-0で勝った。

 山梨県勢の決勝進出は82年度大会の韮崎以来、27年ぶり。初出場校の決勝進出は03年度大会の筑陽学園(福岡)以来、6年ぶりとなった。11日の決勝では青森山田(青森)と対戦。勝てば山梨県勢としても初優勝で、86年度大会の東海大一(静岡=現東海大翔洋)以来、23年ぶりの初出場初優勝となる。

 立ち上がりから高い位置からプレッシャーをかけてくる矢板中央に苦しめられた。ロングボールを187cmの長身FW中田充樹(2年)に当て、セカンドボールを拾って攻撃を組み立てる矢板中央。山梨学院もDF関篤志(2年)、DF中田寛人(3年)のセンターバックが粘り強く跳ね返し、チャンスをうかがった。

 山梨学院は前半15分、MF平塚拓真(3年)が右サイドを突破し、ゴール前に折り返す。鈴木のシュートはGK三浦拓(2年)の好セーブに阻まれたが、同31分にもFW伊東拓弥(3年)の横パスから鈴木が狙うなど積極的にシュートを打った。

 鈴木のゴールへの執念は前半34分に実った。伊東のスルーパスを受けた碓井が右サイドを抜け出すと、角度のない位置からシュート。GKの弾いたボールを鈴木が左足で流し込み、先制した。

 後半に入ると、矢板中央が攻勢を強め、山梨学院ゴールに襲いかかる。後半7分にはMF益子直樹(3年)が左足のミドルシュートを放つが、GK松田ラン(3年)がキャッチ。同29分、右クロスに合わせたFW堀越龍也(2年)のヘディングシュートはクロスバーに弾かれた。

 後半のシュート数は矢板中央が13本、山梨学院が3本。クリアが精一杯で、思うようにボールのつなげなくなった山梨学院だが、カウンターのチャンスは逃さなかった。後半40分、伊東のパスを碓井が右足ダイレクトで振り抜き、左のサイドネットに突き刺すダメ押しゴール。2-0と突き放し、試合を決定付けた。

 これで野洲との1回戦(4-2)以降は4試合連続の完封勝ち。劣勢の試合も無失点で耐え抜く粘り強さがある。横森巧監督は「大会前に駒澤大や流通経済大と練習試合をやったが、大学生も真剣に戦ってくれて、目一杯やらせてもらった。結果は1-7とか1-8だったけど、そういう経験を無駄にしなかった選手をほめてあげたい」と言う。

 大学生相手に押し込まれ、たとえ失点を重ねても最後まであきらめず、戦い抜く。鈴木は「選手権で強い相手とやっても、“流経大と比べれば”って思うし、それがここまで勝ち抜いてきた要因だと思う」と胸を張った。

 いよいよ決勝だ。韮崎を率い、79、81、82年度大会で決勝まで進出した横森監督だが、結果はいずれも準優勝だった。「勝てる何かを教えてもらいたいぐらい」と苦笑いしたが、“4度目の正直”を虎視眈々と狙っている。鈴木が「横森監督に優勝を味わわせてあげたい」と言えば、碓井も「監督を胴上げしたいとみんな言っている」と力を込めた。67歳の老将が宙を舞うか。山梨学院が高校サッカーの歴史に新たな1ページを刻もうとしている。

(取材・文 西山紘平)

特設:高校サッカー選手権2009

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