beacon

【連載】2010Jリーグ新天地での挑戦(12)FW荒田智之(磐田)

このエントリーをはてなブックマークに追加
 あえて厳しいポジション争いの場へ身を投じた。水戸からジュビロ磐田へ完全移籍したFW荒田智之は、専修大から入団した水戸で1年目から背番号9を任されてきた。ルーキーイヤーの08年は42試合出場17得点、昨季は5月に右足第5中足骨を骨折し、全治3ヵ月の重傷を負いながら、終わってみれば34試合で14得点を記録。FW高崎寛之(今季から浦和に復帰)との2トップはJ2でもトップの破壊力を誇っていた。

 水戸にいれば、エースとして君臨できる。それでも熟慮の末、自身のステップアップとしてJ1に挑戦する決意を固めた。磐田にFW前田遼一、FWイ・グノというJ1屈指の2トップがいようとも、荒田の意志、自信が揺らぐことはなかった。

 清水東高出身の荒田にとっては、大学、J2、そしてJ1と着実にキャリアを積み重ねた末の7年ぶりの地元凱旋となる。「出身地である静岡、そしてジュビロ磐田でプレーすることに喜びを感じ、チームの勝利に貢献できるように精一杯頑張りたい」。力強い言葉の裏には前田、イ・グノの控えに終わるつもりはないという固い覚悟もうかがえる。

 「自分は上手い選手ではない」と話す。だからこそ、ゴールに向かう動き、ボックス内での得点感覚に磨きをかけてきた。「ペナルティーエリア内での仕事とか、相手との駆け引きから裏を取るとか、そういうプレーをゴールに結び付けたい」。J1で活躍することが水戸への恩返しにもなる。ロイヤルブルーからサックスブルーにユニフォームの色が変わっても、ゴールを目指し続ける姿勢は変わらない。

 クラブは3年計画による『原点回帰』を掲げている。今季はその2年目。ズバリ目標は「5位」だ。柳下正明監督は「前田、グノという強力な2トップに割って入って、競争力をアップしてくれれば」と期待を寄せる。荒田が前田、イ・グノとの激しい競争を制してゴールを量産するようになれば、チーム力は1枚も2枚も上がり、目標クリアも近づいているはずだ。

▼関連リンク
第11回イ・ジョンス(鹿島)
第10回田代有三(山形)
第9回田中マルクス闘莉王(名古屋)
第8回河原和寿(新潟)
第7回都倉賢(神戸)
第6回森重真人(F東京)
第5回小野伸二(清水)
第4回藤田優人(横浜FM)
第3回小宮山尊信(川崎F)
第2回北野貴之(大宮)
第1回柏木陽介(浦和)
※この連載では10年シーズンに新天地へ移籍した注目選手をJ1の18チームから1人ずつピックアップしていきます(新人選手は除く)

TOP