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俊輔、直接FK弾で魅せた! アルゼンチン戦は「見てないよ」

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[10.9 天皇杯3回戦 横浜FM2-1鳥栖 ニッパ球]

 雨の中でも集まった3949人のサポーターを喜ばせた。前半23分、PA右で17歳FW小野裕二が倒されて得たFK。ゴールまで約20mでボールをセットしたのは、もちろんMF中村俊輔だった。得意の左足を振り抜いてゴール右上隅に叩き込み先制弾。日産時代からの聖地・三ツ沢に歓声がこだました。

 「相手から、やってやろうというのを感じた。FKは、ファーを狙うか、ニアに振るか考えたけど、ボールが濡れてたから(壁の)上から狙っていった」

 ボールはリーグ戦で使うものとは違うが、さすがといえるキックの精度の高さを見せた。J2の鳥栖が相手とはいえ、この日も右MFで先発した。中盤で起点になり、守備網を脅かした。天皇杯といえど手抜きは一切ない。チームを支える司令塔として勝利に貢献した。

 新生日本代表が前夜、アルゼンチンを撃破した。自身が引退表明した代表が、金星を奪った。俊輔は試合を「見てないよ」とだけ語った。これが真実かどうかは分からない。ただでさえサッカー好きで、これまで欧州移籍中はJリーグや代表の試合DVDを日本から取り寄せて、欠かさず見ていただけに“衝撃的”といえる。

 憶測でしかないが、自身が不在の日本代表をまだ直視できないのか。それとも、本当は見ていたけど、いろんな感情があり、見たことを言い難かったのか。いずれにせよ、様々な思いが秘められているだろう。

 6日には元日本代表で背番号10を背負っていたラモス瑠偉氏の訪問を受け、「(日本の背番号10は)和司(木村和司監督)がつけて、おれがつけて……。お前はまだつけられるよ。代表引退なんて冗談じゃない」と代表復帰を説得された。

 俊輔は心変わりがないことを明かしたが、「考えさせられる」とも話している。この日は「ラモス氏のゲキが効いた? ははっ」と苦笑いを浮かべていたが、活躍を続ける限り、代表だろうがマリノスだろうが、その左足には注目も期待も集まる。

(取材・文 近藤安弘)

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