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フットサル代表、強豪ロシアから4ゴールも

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[2010年5月12日 東京・国立代々木第一体育館 観衆:3184人]

AFCフットサル選手権2010ウズベキスタン壮行試合
日本 4-7 ロシア

2008FIFAフットサルワールドカップベスト4のロシアを迎えての一戦。日本はこの大会、グループリーグでロシアと対戦し、1-9の大敗を喫している。今回はお互い世代交代中のメンバー構成で当時と比較にはならないが、実力差は歴然としていた。

現ロシア代表のレギュラーは0人。平均年齢21、6歳という若手ばかりのチームでもロシアの「速い」フットサルはぞんぶんに見られた。

常にパスコースが複数ある状況を作り出すので、正攻法でも次のプレーが予測できない。
戦術理解という確固としたベースがあって、その上に細かなタッチのドリブル(ボディバランスも一級品)、ダイレクトプレーといったアクセントをつけ揺さぶりにかかる。

弱冠19歳の背番号10、セルゲイ・アブラモフなど、代表レギュラーでないのが不思議なくらいのテクニックを見せてくれた。直線的なスピードドリブルから1点、対角線に切れ込む柔なかなドリブルからのシュートで1点。
ロシアのチームワークと個人技の見事な融合ぶりを象徴しているかのプレイヤーだった。

日本もパス連動や全体守備などで意図はうかがえる。できている時間帯もあった。
しかし、ロシアと対戦していると全てが遅く見える。決定的な差は「判断力」にあるようにうかがえた。

就任してもうすぐ1年になるミゲル・ロドリゴ監督は、このような現状を鑑み、スコアを見て「順当な結果だ」と言い切った。
5月23日から始まるアジア選手権にあわせ、これまで多くの若手にチャンスを与え、スペクタクルなチーム作りを目指してきた。
「この1年のテーマはセットプレーとフィニッシュと、ハーフから押し上げるDF」とコンセプトも明確だ。

その成果はある程度確認された。セットプレーでは浮き球を多用してフィジカルコンタクトをなるべく避ける日本らしいパターンを採用した。
フィニッシュに関しても、これまでのショートパス主体からロングパスを多用し、なるべくシュートで終わる形を目指している。
ハーフから押し上げるDFも個々の粘りが感じられる。
長らく代表のエースであり続けている木暮賢一郎(名古屋)はこの試合、セットプレーから1点、カウンターから1点を挙げている。

しかしセットプレー以外の点ではロシアが上をいった。単純に判断が早いぶん、日本より先手を打てる。若いぶん粗さが散見されるも、フィニッシュに至る形が作りやすい。
DFにしても、先頭の選手がプレスにいったと同時に周りが連動してプレスに走る。そこにははっきりとした規律が見える。残り時間8分をきってから日本が仕掛けたパワープレーにも結局動じなかった。

日本としては、後半開始4秒で電光石火のゴールを奪い同点にした直後、後半2分の3失点目が悔やまれる。
ロシア陣内からボールを1人に運ばれ、最後まで止められずあっさりゴール。さらに10分にはプレスのかかっていない状態での横パスをカットされ、そのまま持ち込まれて失点。

実力差は関係なく、集中力を欠く時間帯が40分の中にあるようだと、勝利の可能性はどんどんと下がっていく。

「いいボールの失い方と悪い失い方を認識できるよう修正していく」とはミゲル監督。ロシアとの第2戦に違う展開の試合ができるかどうか。

アジアを制するには、対戦相手よりもまずは自分たちをチームとしてまとめることから求められそうだ。

(写真/前半12分、ゴール正面からのFKを木暮賢一郎が直接決める)

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