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値千金弾の乾、「日本の代表として頑張るだけ」

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[4.5 ACL第3節 C大阪1-0全北現代 長居]
 負ければ決勝トーナメント進出が厳しくなっていたセレッソ大阪だが、天才が救った。後半8分、MF乾貴士がFWホドリゴ・ピンパォンのヒールパスを受けてPA内に突入。得意のドリブルでDFを交わして同右に仕掛けると右足一閃。丁寧にゴール左下に蹴り込んだ。乾のACL&今季初ゴールが、首位に浮上する決勝弾となった。
「いい形で抜け出すことができて、ピンパォンが良いボールを落としてくれた。あとは落ち着いて(シュートが)できたのが良かったです。やっとセレツソらしさが出て、いい形で勝てた。次につながる勝ちになった」
 試合後のテレビインタビューで乾は笑顔をみせた。3月16日のアウェー山東魯能(中国)戦で0-2完敗。勝ち点3の3位に後退したため、この日の試合を落とすと、決勝トーナメント進出が厳しいものとなっていた。「相手はフィジカル勝負のサッカーをしていた。非常に多くのファールを受けたので見苦しいサッカーになった」とクルピ監督は振り返ったが、言葉通り、全北現代は立ち上がりから体の強さを活かして激しく守ってきた。また、ハイボールを多様。テクニカルな攻撃が売りのC大阪は“肉弾戦”に苦しみ、なかなかリズムがつかめなかった。
 そんな中、乾が奮闘した。前半43分には、乾はゴール前でMFキム・ボギョンのヒールパスを受けてゴールへ突進。シュートまで行った。このときは、惜しくもギリギリのところでDFに触られて防がれ、頭を抱えて悔しがったが、2度目の絶好機できっちりと“リベンジ”に成功した。
 3月29日のチャリティーマッチ、日本代表vsJリーグ選抜戦で、昨年9月以来となる日本代表復帰を果たした。舞台はこの日と同じ本拠地の大阪長居スタジム。後半開始から出場し、代表生き残りをアピールしようとしたが、全選手を出場させる目的もあり、同27分に交代し、無得点に終わった。「ベテランの方とか、今まで日本を支えてきた人たちと一緒にやれたのは自分自身もうれしい」と乾は振り返っているが、日本代表イレブンのほか、Jリーグ選抜の三浦知良や中村俊輔らから刺激を受けた。チームでの活躍に活かそうと考えていたが、さっそく成果を出した形だ。
 2勝1敗の勝ち点6は、全北現代と同じで、なおかつ得失点差では4差をつけられていたが、直接対決の結果が優先されるため、C大阪が首位に立った。ただ、グループリーグは残り3試合あり、まだまだ予断を許さない。もちろん乾も「あと半分ある。しっかりとあと3試合に勝たないと、突破はできない。切り替えて頑張りたい」と早くも次戦を見据える。そして、「ほんと気合入れて、今日みたいに球際強く行けば、セレッソらしい攻撃もできる。日本の代表として頑張るだけ」と強い気持ちで戦い抜くことを誓った。
「きょうの勝利はほんとに重要だと思う。ただ、次はアウェーの試合で、全北現代との戦いとなるが、フィジカル的にタフな試合になる。我々のグループは拮抗した戦いが続いていて、大きな差がない。そんな中でも、我々は自分たちのサッカーを模索しながら、完成度を上げて戦いたい」とクルピ監督。次節は20日で、今度はアウェーで全北現代と戦う。激しい戦いが予想されるが、強い気持ちでC大阪らしい攻撃サッカーを展開し、敵地でも白星を狙う。
(文 近藤安弘)

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