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[MOM366]FC東京U-18MF武藤嘉紀(3年)_「大舞台で得点」誓うエースが“不満”の2発

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[12.12 Jユースカップ2回戦 F東京U-18 3-0 新潟ユース 深川]

 準優勝に終わった高円宮杯全日本エース(U-18)選手権以来となる全国舞台。FC東京U-18のエースMF武藤嘉紀には期するものがあった。全日本ユース選手権は累積警告のために準決勝で出場停止。チームメートに決勝へ導いてもらっていたが、広島ユースとの決勝では無得点に終わり、その恩に報いることができなかった。

 だからこそ今大会は「決勝トーナメントでより多く取ること。決勝という大舞台で得点すること」と力を込める武藤。雪辱の舞台に立つために取り組んできた成果はプレーの中でも出てきている。「最近は怪我も多くなってしまって本調子でできていなかったけれど、波なくできているというところが成長できていると思う」と自身でも手ごたえを感じているというエースは、手がつけられないようなドリブルで相手DF陣を再三切り裂き、決定機をもたらした。

 スピードに乗った状態でも難なくボールをコントロールし、ゴールを奪うMFは“野生的”な身体能力の高さも大きな武器。この日決めたゴールは2つともその頭から生まれた。前半8分、SB廣木雄磨の右クロスを打点の高いヘディングシュート。これで新潟ユースの名手、GK渡辺泰広の守るゴールを破ると、後半32分にはMF佐々木陽次の右CKを再び高い身体能力を生かしたヘディングシュートでゴールへと突き刺した。

 大事な初戦で2ゴールを奪う印象的な活躍。ただ先制アシストをした廣木やCB松藤正伸主将らが見せたDF陣の方が仕事をしっかりと果たしていた。攻撃陣はシュート22本を放ちながら3得点に終わる不発で、武藤自身も前半22分に佐々木の突破から迎えた決定機はシュートを吹かしてしまうミス。他にも決定機がありながら、シュートの正確性を欠くなど決めきることができなかったことを反省していた。
 「ハットトリックいけたんで、狙いにいこうと思っていた」が股関節を痛めたこともあり、後半42分に途中交代。「自分が何回もチャンスをつくって決めていればもっと早く試合を決められたと思う。あそこで決めないと上のレベルで結果を出せない」と表情は厳しかった。

 高校卒業後の進路は慶應義塾大への進学。各試合で相手の脅威となってきたアタッカーはFC東京のトップチーム昇格の可能性があったが「自分にあまり自信がなくて。自信ないまま上がるより大学で成長したいと思った。ドリブルに磨きをかけてフィジカルの面でも上で鍛えたい」と4年後の再挑戦を誓う。
 再びJ1へ上がり上位へ返り咲いているであろうクラブに自信をもって入るために大学進学を決意したMFが、今何よりもほしいものは全国タイトル。エースは今大会、全日本ユース選手権で決めることのできなかった大一番でのゴールを奪い、チームを日本一へと導く。

(取材・文 吉田太郎)

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