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[総理大臣杯]仙台特別指定の奥埜が2得点1アシスト!仙台大3年ぶりV:東北

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[5.30 東北大学選手権決勝 仙台大 3-0 八戸大 盛岡南公園球技場]

 30日、2010年度第11回東北地区大学サッカー選手権大会兼第34回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント東北地区予選決勝が、岩手県盛岡市の盛岡南公園球技場にて行われた。決勝進出したのは仙台大と八戸大。ベガルタ仙台の特別指定選手であるFW奥埜博亮(3年=仙台ユース)擁する東北屈指のタレント軍団の仙台大に、八戸大がどう立ち向かうか楽しみな一戦となった。

 立ち上がりチャンスを作ったのは八戸大。PAすぐ外でのFKのチャンスを得て、八戸大MF亀井洋伸(4年=山形ユース)のFKは惜しくもバーを叩き、仙台大は肝を冷やした。

 しかし、すぐに自慢のポゼッションサッカーで相手を押し込み始めた仙台大は11分、MF黒田涼太(2年=桐生一高)が左サイドからFK。これに頭で合わせたのが奥埜。171cmと決して大きくはないが、八戸大選手のマークをかいくぐってのヘディングシュートが見事に決まり仙台大が1-0と先制した。

 その後も仙台大がボールを支配し、前半だけで12本ものシュートを放った。一方の八戸大もゲームメーカーのMF柴田喜(4年=室蘭大谷高)を中心に攻撃を組み立てようとしたが、シュートを打たせてもらえず、前半のシュートは亀井のFK1本のみ。前半は1-0で終了した。

 後半に入っても仙台大の勢いは止まらない。10分には右サイドハーフのMF森田光哉(3年=青森山田高)が右サイドを突進。そしてゴール前にいた奥埜とワンツーで再びゴール前でボールを受けた森田がシュートを決め、仙台大が貴重な追加点を挙げた。

 2点ビハインドとなった八戸大はさらに14分、FW佐藤功基(4年=利府高)が2回目の警告で退場となってしまい、苦境に立たされた。しかし、最後の力を振り絞り9人となったフィールドプレーヤーが勇気を持ってDFラインを上げ、相手ゴールに襲いかかり、八戸大へと流れが傾きかける。

 しかし、その流れを断ち切ったのはまたしても奥埜だった。33分、PA近くで相手DFラインのパスミスを拾った奥埜はそのままゴールへ突進。GKもかわして無人のゴールにボールを流し込むだけだった。これで3点差。後半も13本のシュートを放ち、八戸大をシュート1本に抑える危なげない試合運びを見せた仙台大が3-0で八戸大を下し、3年ぶりとなる総理大臣杯全国大会出場を決めた。

 優勝を決めた仙台大は2年連続で総理大臣杯全国大会出場を逃し、インカレでも苦戦を強いられていたことから、今年は体制を一新。長らく仙台大を率いた中屋敷眞前監督が総監督となり、新たに前仙台育英高監督の吉井秀邦監督を招聘。そして、チームを実質率いているのが今年ベガルタ仙台から派遣された瀬川誠コーチだ。

 瀬川コーチは仙台ユース・ジュニアユースでの指導経験を生かし、ポゼッションを非常に重視したサッカーを展開。昨年までは奥埜の決定力に頼るあまり、ロングボールが多くなることもあったが、今年はパスを繋いでゴールチャンスを量産している。瀬川コーチは「もっと本当はボールを動かしたかった。今日はちょっとビビっていたかもしれない」と語り、決勝でのポゼッションの質には不満も述べたが、東北の大学チームの中では非常に質の高いポゼッションで他を圧倒した。

 「まだ1ヵ月ちょっとしか指導していないので、もっと精度を上げたい」と瀬川コーチ。ポゼッションの質が高まり、生まれ変わった新生・仙台大が全国の舞台でどれだけ暴れ回れるか非常に楽しみだ。  

(取材・文 小林健志)

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