beacon

[大学選手権]永井が退場で涙……福岡大は全国ベスト8の壁を破れず

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.23 全日本大学選手権準々決勝 関西大1-0福岡大 平塚]

 この4年間、大学サッカー界に注目を集め続けてきた福岡大のFW永井謙佑(4年)の大学サッカー最終戦は、まさかの退場で幕を下ろした。

 1点ビハインドで迎えた後半36分、PA内で果敢にボールを奪いにいったのが裏目に出て、この日2枚目の警告を受けた。そして、まさかの退場。エースFWを欠いたチームは、その後も1点が奪えずに試合は終了。関西大に0-1で敗れ、今夏の総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントに続き、福岡大はベスト8で姿を消すことになった。

 夏の総理大臣杯ではPK戦での敗退にも、淡々としていた永井だったが、この日は4年間を共にしてきたチームメイトとの最終戦ということもあり、スタンドへ挨拶しながら涙を流していた。

 試合後、福岡大の乾真寛監督が「永井自体のコンディションも良くなかったし、本人も不本意な結果だと思う」と話したように、コンディションが万全ではなかったことが痛かった。

 U-21日本代表として出場していたアジア競技大会から帰国後は、丸1週間の完全休養が必要だったほど、疲労は蓄積していた。帰国後の疲れは未だに取れず、足にかなりのダメージがあり、持ち前のスピードと運動量を発揮することはできなかった。これには乾監督も「代表でも大学でも全てで彼にスーパーなものを求めるのは酷」と永井をかばっていた。

 永井自身は「退場してゲームを崩してしまった。自分のせいです」と試合を振り返ったが、今回の敗戦を永井の責任にする選手はひとりもいない。

 試合直後に永井は、後輩のFW石津大介(3年)へ「ごめん。申し訳なかった」と声をかけていたが、石津は「むしろ申し訳ないです。永井さんとできる時間もどんどん少なくなっていって1試合1試合が貴重な時間だった。自分が後半から入ってもっといいリズムを作れていたら良かった。逆に本当に申し訳なかった」としきりに反省していた。

 この4年間で永井は多くのものをチームにもたらした。後輩選手たちは「どんな相手にも同じようにプレーできるところを学びました」「チームでも代表に行っていても全てが見本だった」と口を揃える。今年1年、福岡大は全国大会の舞台ではベスト8の壁に阻まれたが来季は後輩たちがその無念を晴らすつもりだ。

 最後に永井は将来へ向けて「じっくり(自分を)見つめなおして先に進んでいきたい」と語った。南アフリカW杯にはサポートメンバーとして帯同し、アジア競技大会では優勝に輝くなど、充実した1年だったことは間違いない。しかし、W杯から帰国して、わずか10日後に行われた今夏の総理大臣杯ではベスト8。そして、今回のインカレでもベスト8と代表での活躍のツケは、チームへ回ってしまった1年だった。この悔しさをバネに、来季は“大物ルーキー”として、Jの舞台での活躍に期待がかかる。

[写真]永井(右)は涙を流しながらチームメイトへ謝罪を繰り返していた

(取材・文 片岡涼)
第59回大学選手権特集

TOP