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[大学選手権]夏からの進化を見せた中京大、夏の王者・駒大にリベンジ

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[12.23 全日本大学選手権準々決勝 駒澤大1-2中京大 西が丘]

 第59回全日本大学サッカー選手権は23日、準々決勝4試合を行い、中京大(東海2)は駒澤大(関東4)に2-1で競り勝ち、3大会ぶりの4強進出を決めた。今夏の総理大臣杯決勝では延長戦の末、駒澤大に2-3で敗れた中京大が夏のリベンジを達成。26日の準決勝では、優勝した00年度以来10年ぶりの決勝進出を懸け、前回王者・明治大を下した高知大と対戦する。

 相手の戦術に合わせて自在に戦い方を変化させる中京大の“カメレオンサッカー”がまんまとはまった。関西王者の阪南大を破った1回戦の4バックから3バックにシステムを変更し、DF森本良(4年)、DF中田智久(3年)、DF須崎恭平(1年)の最終ラインの前に179cmのMF熊澤圭祐(3年)を配置。「4バックでやるか、3バックでやるか悩んだが、(3バックの前に)プラス1を置くことで落ち着くかなと思った」という西ヶ谷隆之監督の思惑通りに試合は進んだ。

 ロングボールを多用する駒澤大に対し、3バックが体を張って跳ね返し、熊澤らMF陣がセカンドボールを拾う。マイボールになれば、素早くサイドでフリーの選手に展開し、常に中盤で数的優位を保った。

 前半15分にはカウンターからチャンスをつくり、MF佐藤和弘(2年)のミドルシュートがクロスバーを弾くと、同31分、FW齋藤和樹(4年)のスルーパスに反応したFW藤牧祥吾(3年)がゴール前に抜け出しかけるが、駒澤大のDF金正也(4年)が何とかカバーに入った。

 FW棗佑喜(4年)を負傷で欠く駒澤大はMF湯澤洋介(2年)も出場停止。1回戦で途中出場にとどまったFW山本大貴(1年)、同じく欠場したDF林堂眞(3年)が先発に戻ったが、中盤で後手を踏み、思うように攻撃を組み立てられず、前半を0-0で折り返した。

 試合が動いたのは後半10分。中京大は右サイドからMF平山照晃(4年)が折り返したボールを藤牧が上手く左足に持ち替えてマークを外し、ゴール右隅に流し込んだ。試合を優勢に運んでいた中京大が待望の先制点を奪った。

 駒澤大はMF奥村情(2年)に代えてFW大塚涼太(4年)を投入し、攻撃の枚数を増やして圧力を強める。後半19分には波状攻撃から立て続けにシュートを狙うが、大塚のシュートも枠を捉え切れず、同21分、MF金久保彩(4年)のシュートも熊澤のブロックに阻まれた。

 後半32分、MF碓井鉄平(1年)に代えてDF濱田宙(3年)を入れた駒澤大はCBの金を前線に上げ、パワープレーを仕掛ける。すると、同35分、大塚の左クロスにFW肝付将臣(3年)が打点の高いヘディングでGKに競り勝ち、1-1の同点に追い付いた。

 粘り強く守っていた中京大にとっては痛恨の失点だったが、選手たちは集中を切らさなかった。延長戦突入かと思われた後半43分、佐藤の右FKに森本がニアサイドに飛び込むと、ゴール左へ流し込むヘディングシュート。土壇場で再び勝ち越しに成功した。

 駒澤大も終盤、猛攻に出るが、後半45分、右クロスをフリーで捉えた金のヘディングはゴールのわずか上へ。同48分には金久保の右クロスを大塚が頭で折り返し、山本が左足ボレーで狙ったが、惜しくもクロスバーを直撃した。

 試合はそのまま2-1でタイプアップ。夏の雪辱を果たした中京大が準決勝進出を果たした。先制点の藤牧は「夏にやったとき、“やれるな”とみんなが思っていた。あのときも(ロング)ボールを蹴られて、崩されていないのに負けて悔しかった」と振り返る。見事に完遂した“駒大攻略”のシナリオ。西ヶ谷監督は「夏の悔しさを含めて、選手たちが取り組んできたことがこの結果になった。相手を倒すためにどうするのか。ひとりひとりが忠実にやってくれた」と教え子たちをねぎらっていた。

[写真]得点に喜びを爆発させる中京大の選手たち

(取材・文 西山紘平)

第59回大学選手権特集

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