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[大学選手権]高知大が王者を退け14年ぶり4強、監督は流経大の"アシスト"に感謝

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[12.23 全日本大学選手権準々決勝 明治大0-2高知大 西が丘]

 第59回全日本大学サッカー選手権は23日、準々決勝4試合を行い、高知大(四国)が前回王者・明治大(関東1)に2-0で快勝し、92、96年度以来となる3度目の4強入りを果たした。26日の準決勝では初の決勝進出を懸け、中京大と対戦する。

 臆することなく戦った。高知大が文句なしの快勝をおさめた。相手は今季の関東大学リーグで独走Vを果たした前回王者。1回戦では新潟経営大に11-0の記録的圧勝を飾った明治大に対し、激しいプレッシャーと球際の強さで終始、試合を優勢に進めた。

 前半17分、MF西山巧真(3年)の左FKにゴール前で競ったこぼれ球にFW福本圭(2年)が反応。前に出てきたGKの動きをよく見て左足ボレーでボールを浮かし、先制のゴールネットを揺らした。

 立ち上がりにリードを許す展開で浮き足立ったか、明治大は単調なロングボールが増える。前線でFW山本紘之(4年)、FW久保裕一(4年)が体を張るが、なかなか競り勝てず、セカンドボールも高知大に拾われた。

 前半27分には山本の落としたボールを久保が左足ミドルで狙うも、ゴール右へ。同33分にはMF宮阪政樹(3年)のラストパスに山本が反応するが、GK片山裕登(3年)が出足良くボールを抑えた。

 0-1で折り返した後半開始から明治大は宮阪に代えてMF矢田旭(1年)を投入する。何とか流れを変えたかったが、後半立ち上がりの3分、DF松岡祐介(2年)がこの日2枚目の警告で退場。同7分にMF田中恵太(3年)に代わってDF丸山祐市(3年)が入り、4-3-2の数的不利で反撃を狙う展開を強いられた。

 後半8分には高知大のMF酒井貴政(4年)が強烈なミドルシュートを放ったが、GK高木駿(3年)が鋭い反応でかき出す。守護神が好セーブを連発し、10人で耐えて同点のチャンスを狙った。後半22分には久保がロングボールを胸トラップ。鋭い反転からゴール前に絶妙なスルーパスを通したが、山本のシュートはDF實藤友紀が体を投げ出してブロックした。

 明治大は後半23分、DF奥田大二郎(3年)に代えてMF星野皓太(4年)を投入。最後の交代カードを切り、3バックに変更して最後の猛攻を仕掛けたが、最後まで高知大の鉄壁の守備を崩せず。逆に後半48分、高知大はMF香川大樹(4年)がダメ押しの2点目を決め、勝利を決定付けた。

 高知大の野地照樹監督は「相手に関係なく、自分たちのサッカーをやろうと毎試合、言ってきた。サッカーを楽しもう、この舞台を楽しもうと」と目を潤ませた。「(明治大は1回戦で)11点取って、選手には隙があったと思う。『11点は取れなくても、5、6点は取れるんじゃないか』という気持ちでいたんじゃないか。勝負は隙を見せたら絶対に負ける。先制されていたら本当に0-5、0-6で負けていたかもしれないけど、先制点が本当に大きかった」と振り返った。

 国立の高知大には、私立のように大学から潤沢な予算援助があるわけではない。18日の1回戦・鹿屋体育大戦後は流通経済大の好意で同大の宿舎、練習場を借りて調整してきた。「グラウンドも用意してくれて、雨が降れば室内練習場も使わせてくれた。私たちにはトレーナーもいないが、流通経済大のトレーナーがうちの選手の面倒まで見てくれた」と野地監督は感謝し切りだった。

 「1回戦のときは何人も足をつっていたのに、今日はだれもつらなかった。コンディションは確実に良くなっていたし、今日の勝利の半分は流通経済大のおかげです」。インカレ出場を逃した流通経済大の“アシスト”もあって関東王者から奪った大金星。流通経済大のためにも、明治大のためにも、狙うは初の決勝、そして初の日本一だ。

[写真]後半ロスタイム、ダメ押しの2点目を決めた高知大MF香川大樹はスタンドによじ登って喜ぶ

(取材・文 西山紘平)

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