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[MOM305]F東京U-18FW秋岡活哉(3年)_“覚醒中”の点取り屋

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[9.4 全日本ユース選手権1次R第1戦 F東京U-18 3-0 富山一高 群馬]

 快足ストライカーが点取り屋として「覚醒」してきている。FC東京U-18のFW秋岡活哉は全日本ユース(U-18)選手権初戦の富山一高戦で2ゴールをマーク。8月28日に行われたJユースカップ予選の川崎F U-18戦で4ゴールと大爆発したFWは、公式戦2試合で6ゴールと結果を出している。
 
 富山一GKにプレッシャーをかけてミスを誘ったこの日の2点目も貴重だったが、好調の要因はその1点目にあった。前半36分、F東京U-18は09年U-17W杯日本代表のSB廣木雄磨とのワンツーで右サイドを抜け出したMF江口貴俊が中央へラストパス。「江口が自分のポジションをよく見ていてくれた」とパスを受けた秋岡は、ファーストタッチで前を塞ごうとするDFの届かない右外側へボールを置くと、巻き込むように右足を振りぬく。決して強いシュートではなかったがGKの目の前を横切るように転がったシュートは、そのまま逆サイドのネットへと吸い込まれた。

 「ファーストタッチでボールを外側に置いて、逆サイドの方向に腰を切れば、ゴロだけど、強くもないけれどGKには届かないシュートになる。この感覚が今つかめてきている」と秋岡。元々スピードには定評があったが、決して得点を量産してきた訳ではない。ただFWの責任の重さを痛感してから徐々に変化してきている。それが新たな感覚をつかませ、ゴール量産につながっているのだ。

 8月の日本クラブユース選手権(U-18)大会は初戦の京都U-18戦で決勝ゴールを決めたものの、その後は不発に終わり、チームも得失点差で数字を伸ばすことができなかったためにグループリーグでまさかの敗退を喫した。「守備(陣)は頑張っているけれど前が点を取れない。FWとして点取って楽にしたい気持ちがある。これまではゴール前の貪欲さが足りなかったけれど、点取ることを意識するようになった。高円宮杯は自分が点を取るつもりでいます」。前線の核である武藤嘉紀と前岡信吾が故障上がりで万全でない中、覚醒中のFWは2発でまずはチームに勝ち点3をもたらした。

 ただし、倉又寿雄監督が「2点取っているけどあまりよくなかった」と評価したように、この日は前線でボールを収めることができず攻撃の起点となることができなかった。求められる役割はゴールだけではない。自身も「もっと駆け引きしなければいけなかった」と反省。まずはチームが勝利するため、その術として“覚醒中”の自身を生かすため、求められている役割を全うする。

(取材・文 吉田太郎)

連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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